週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団対策法と実態の乖離への対応が急務だ

昨年摘発され解散した半グレ集団「アビス」の元幹部が再びグループを組織しようとしているという。だが、そもそも「半グレ」は、アメーバ的な組織形態であって、次から次へと様々なグループが派生的に発生するものだと捉える必要がある。一方で、暴力団もそのあり方を変質させており、最近では、構成員を組に出入りさせず、行事にも参加させないことで、組とのつながりを消した存在(構成員でありながら構成員にしない)として育成、暴対法や暴排条例の対象外(半グレなど)として一般人に紛れながら、実質的に暴力団として活動するケースもあると聞く。さらに、少子高齢化の進展が、近い将来、暴力団の姿を大きく変質させる可能性も指摘されている。このような実態をふまえれば、暴対法の限界はもはや明らかであり、暴力団の再定義の議論が急務だろう。(芳賀)

熊本地震から3年、被災の傷なお

熊本地震から3年、現在、仮設住宅の入居者はピークの頃と比べて半分以下になった。しかし、仮設住宅から退去したからといって、必ずしも生活再建が順調に進むとは限らない。生活環境の変化によるストレスに晒された当事者に対して、これまで仮設住宅で支援を行ってきた支援者の目配りが行き届かなくなることや、支援が途切れてしまうことも課題だ。そうした被災者は、物理的に取り残されていることはもちろん、精神的にも取り残されてしまうこともある。現在の熊本では、このような心理的・社会的な格差を埋めるための支援が必要とされている。通常は時間とともに回復していくが、周囲は「いつまでそんなことを」と軽く流さず、安心できる声掛けが求められる。被災地への支援にあたり、被災者の災害後の心の動きやストレスの対処法を学ぶことも大切だ。(佐藤)

経産省、「コンビニエンスストア加盟者の取り組事例調査」結果公表

経産省は、対象の30,757人の加盟店オーナーに対して調査を実施した。加盟の満足度を問う設問では、「概ね満足している」との回答が45%と最も多く、「大変満足している」と合わせて53%に達した。一方で、「満足していない」との回答が39%を占める。満足していない理由として「利益が少ない」、「労働時間が長すぎる」が上位を占める。また「従業員が不足している」との回答が61%に達し、不足を経営者が補う状況が推測される。不足の理由は「募集しても来ない」が最多だ。本部への要望として、「店舗で人員不足した際に、人材を派遣するといった支援をしてほしい」が最も多く、従来の役割と違った支援を求めていることがわかる。人手不足は、フランチャイジングにおける本部と加盟店の機能やリスクの分担のあり方のみならず、インフラとしての意味を問う。(伊藤)

「震災前」の心構えで

2016年に発生した熊本地震から3年が過ぎた。この地震で特徴的だったのは、2度の大きな「本震」と「災害関連死」の多さだ。震災直接死が50人とされているのに対し、関連死は4倍以上の220人以上にのぼる。後者は全て、助かったはずの命だ。京大の矢守教授によると、熊本地震の被害は全て政府の「想定の範囲内」だったという。範囲内にもかかわらず対策の遅れで300人近い方々がなくなったとすれば、それは明らかに人災といえる。最近の九州大学らの調査で、日奈久断層帯の一部では依然としてひずみエネルギーをため込んだ状態にあることが分かってきた。同大は「M6・5~7近くの地震がいつ起きてもおかしくない」と警戒を呼びかけている。少し厳しいかもしれないが、現地では復旧と同時に、今が「震災前」であるという心構えも必要だ。(大越)

Back to Top