週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

社会的包摂~安心・安全な社会に必要不可欠なもの

社会復帰できなかった暴力団離脱者が、社会の表裏両方でアウトローとなっている可能性が指摘される。暴力団にはあってもアウトローに「掟」という楔は存在せず、何でもシノギにする社会的に危険な存在と化しているおそれすらある。残念だが、暴排が社会不安の解消に役立っておらず、むしろ離脱者の更生を妨げ、犯罪を再生産しているのが現実だ。一方、離脱者に限らず、ロンリーウルフ型テロリストの過激思想化の阻止や犯罪者の再犯防止の観点からも、「社会的包摂」「社会的受け皿の存在」は極めて重要だ。言い換えれば、彼らを単に社会的に排除するのではなく、あらゆる多様性を認め、再チャレンジできる社会、寛容さが浸透した「健全な社会」こそ、真に安心・安全な社会のベースではないのか。社会全体による社会的包摂のあり方の議論が急務だろう。(芳賀)

保育園の会見は現在の日本社会の縮図

交通事故の巻き添えで保育園児が亡くなった。記者会見では園長が泣き崩れるシーンもあり物議を醸している。実は、「なぜ?」と思う会見は、マスコミのメディアスクラムにより近隣や関係者等に多大な迷惑がかかり、やむなく行っている場合が少なくない。記者は早く情報を掴もうと近隣や関係者に取材の矛先を向け、取材が過熱する。その過程で時としてプライバシーが無視される。取材攻勢の中、近隣や業務・生活への影響から会見を行わざるを得なくなる構図だ。今回、遺族もコメントの中で取材自粛を要請している。SNSでの一般人の情報発信も過熱しており、報道機関には大きなプレッシャーとなる。日本人の情報リテラシーの低さが言われて久しいが、過剰な「犯人探し」、「自己顕示」風潮の延長線上にあり、社会全体の問題であることを看過すべきではない。(西尾)

個人情報保護、利用者本位の規制へ

選挙介入に利用されるなど「個人データの乱用」という事態が発生し、欧米中心にプライバシーを保障する制度拡充の動きが相次いでいる。個人情報保護委員会は、2020年に向けて検討している個人情報保護法改正の原案を発表しており、望まない自分の個人情報を企業に「使わせない権利」の導入を柱に据えている。「使わせない権利」は個人の意思を尊重し、企業がどのようにデータを取得したかにかかわらず、望まない場合は利用停止を要請できる。企業は速やかに対応する義務を負い、情報開示にも応じなければならない。データ活用事業は大きな転換点を迎え、企業も変革を迫られる今、個人の意識の変化に無関係でいられない。通信や銀行、小売各社もデータ活用ビジネスに力を入れるなか、恩恵を最大限生かすには個人情報を巡る規制の変化に目を配る必要がある。(佐藤)

「食品ロス削減推進法案」、今国会で成立見通し

食品ロスを減らすための基本政策を盛り込んだ同法案が今国会で成立する見通しだ。政府には食品ロス削減に関する施策を実施する責務があると明記し、基本方針づくりを促す。都道府県と市町村には推進計画作成を求める。コンビニの恵方巻きの大量廃棄は問題の深刻化を象徴する。今コンビニ各社は、パックに窒素ガスを充填するなど容器包装の工夫で消費期限を延長したり、サプライチェーンの見直しで発注から納品までの時間を短縮し、廃棄を減らしつつある。経産省はコンビニなどの一部の商品にICタグを付けて、消費期限が近い商品程LINEポイント還元を多くする実証実験をしている。これまでの廃棄を前提とした品揃えは売上至上主義ともいえ、倫理的な消費の対極にあろう。企業や行政は、社会のサスティナビリティを意識し、これらを転換点とする必要がある。(伊藤)

海外出張時のワクチン接種を必須に

先週末、ノルウェー出身の女性が旅行先のフィリピンで狂犬病に罹患し、死亡したとのニュースに接した。狂犬病は現在、日本や英国などの一部の国を除いて全世界に分布する病気であり、インドでは現在でも毎年約2万人が狂犬病で命を落としている。犬だけでなく、犬の血を吸ったコウモリや、キツネ、アライグマなどの肉食獣も感染源になることが知られており、特に注意が必要だ。対策としてはワクチンが有効だが、企業としては社員を狂犬病の危険性のある地域に出張等で派遣する場合には、原則として事前のワクチン接種を必須とすることが望ましい。可能であれば他の病気予防とも併せた混合ワクチンがベストだ。日本渡航医学会のHPでは、渡航先によって必要なワクチンを教えてくれる全国のトラベルクリニックが掲載されているので、参考にして欲しい。(大越)

Back to Top