週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

テロ発生のメカニズムが示すもの~スリランカテロの教訓

スリランカ同時爆破テロの背後にISの存在が指摘される。最盛期にシリアとイラクで推計3万人超の兵力を擁したISは、実効支配を失ってなお、国際社会の安定を脅かす存在だ。戦闘的なジハード(聖戦)を通じて究極的には「世界をイスラム化する」とのイデオロギーはいまだ健在で、「リアルIS」から「思想的IS」へ、さらには「リアルIS」への再反転の動きさえ見られる。比較的政情が安定し、多様な宗教・宗派が共存共栄してきた寛容な同国で大規模テロが敢行された事実、「多元的共存」「寛容」「平等」すらテロの防波堤となりえなかった事実、そして、テロ発生の事実自体が社会に疑心暗鬼や憎悪、「亀裂」「分断」をもたらし、すでにIS受容の土壌を醸成し始めている事実は極めて重い。テロ発生のメカニズムから日本も逃れられない現実を直視すべきだろう。(芳賀)

歓迎ばかりではない「令和」新時代

「令和」の時代が幕を開けた。退位による皇位継承であったこともあり、各地で歓迎ムードの中、カウントダウンも行われた。しかし、新時代の幕開けはおめでたいことばかりではない。天皇即位後、皇居上空等でドローンが飛行していたとの報道があった。ヘリコプターとの見方もあるが、5月2日、6日にも目撃証言があり、時期を考えると(夜間にも飛行の目撃証言があることからしても)、その見方にも疑問も残る。今年から来年にかけて東京では大きなスポーツイベントを控えており、ドローンを使った違法撮影やテロへの対策は急務である。国内が新元号にお祭り騒ぎの中、目撃証言のあったドローンに対して、現状では有効な対策・対応はされていない。ヘリコプターにすり替えられ、ドローン対策不備のリスクが隠されることのないことを願う。(西尾)

マイナンバー、普及に向けた丁寧な説明を

マイナンバー制度が運用を開始してから約3年半が経過したが、マイナンバーカードの普及は進んでいない。総務省によると、18年12月1日時点で、全国の交付枚数は約1560万枚であり、人口に対する交付率は12.2%にとどまっている。今後、健康保険証として代用可能とし診療情報との連携を図ることで、普及率を高めるとしているが、制度そのものが監視社会、個人情報漏えいに繋がるという懸念の声も多い。その結果、個人番号とは直接関係のない電子証明書機能を有したマイナンバーカードについても、普及の弊害となっている。マイナンバーカードの普及を行政分野に限らず、民間サービスにも広げデジタル社会作りの中核と位置付けるのであれば、目先の利便性を強調するばかりでは理解の獲得は困難であり、まずは国民が抱いている不安を払拭することが求められる。(佐藤)

高萩市中学生自殺、卓球部顧問の不適切指導か

高萩市教育委員会は、市内の公立中学の女生徒が自殺を図り、死亡したと公表した。市教委は、所属していた卓球部の男性顧問による不適切指導が一因となった可能性があるとみている。男性顧問が部員らに「殴るぞ」「殺すぞ」などの暴言を発したり、肩を小突いたりしていたとされる。市教委は第三者委員会による調査を実施するという。部活動やスポーツにおける暴言や体罰の根絶には程遠いのが現状だ。やる気の強制や限界を打ち破るための刺激として暴言や体罰が使われているのだろう。体罰はある程度必要と考える一部の保護者の存在が根絶を阻む空気となる。指導者も暴言や体罰に対する意識は薄く、指導の中に入り込んでしまう。指導者任せにせず、指導方法の教育と外部のチェック、そして暴言や体罰を許容しない文化への変革など組織的な対策が必要だ。(伊藤)

倉敷市が平成30年7月豪雨の検証報告書を公表

倉敷市は連休前の4月26日、平成30年7月に発生した豪雨についての対応を検証した報告書を公表した。市は報告書の中で避難情報について「具体的かつ明確に示された国の基準に沿って発令した」との見解を示す一方で、災害対策本部では災害関連の各種情報を一元的に把握できる仕組みが整っておらず、通信機能がパンクしたなどと対応の不備を報告した。しかし、当時取材した中でもっとも感じたのは、岡山県自体が「晴れの国・岡山」として災害が少なく、晴れの日が多いことをPRするなど、防災意識自体が薄かった点だ。最も被害が大きかった真備町では、過去に小田川の氾濫は何度も経験していたにも関わらず、今回も51人もの死者を出している。災害大国日本において災害に強い地域とは、「災害が起こらない地域」ではなく「災害に備えている地域」なのだ。(大越)

Back to Top