週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

テロリストと反社会的勢力~「関係を持つべきでない」相手とは

米では度重なる銃乱射事件にも関わらず、銃所持の権利擁護を主張する「全米ライフル協会(NRA)」の強力なロビー活動により銃撲滅には程遠い状況だ。だが、サンフランシスコ市議会がNRAを「国内テロ組織」と認定する決議を全会一致で可決した。実務的には、NRAと密接な関係のある企業との取引の是非が問われることになり、「関係を持つべきでない」反社会的勢力の線引きは何処でも悩ましい。また、バージニア州にある連邦地裁が、政府の「テロリストまたはその疑いがある者」の名簿について、掲載された者の人権を侵害していると判断したことも注目だ。現時点ですぐにテロリスト認定が無効になるわけではなく、実務的には、AML/CFTの観点からそれを排除していく姿勢を変える必要はないが、暴力団の離脱者支援と偽装離脱の見極め同様、相当の慎重さが求められる。(芳賀)

標的型攻撃は増加傾向、脅威としての認識を

警察庁によると、2019年1~6月に把握した標的型攻撃メールは2687件で、前年同期(2578件)を上回り、上半期として過去最多を更新したとしている。最近はプラント関連事業者も狙いの対象で、実在すると思われる開発プロジェクト名や事業者名が詐称されていた。具体的には、メールでプラントに使用する資材や機材の提案、見積もりなどを偽装し、さまざまな文面のバリエーションが確認されている。このような脅威に対して、標的型攻撃の訓練や演習、アンケートを通じて、自社内でそのリスク(開封状況、報告状況)を把握しておきたい。演習や研修、注意喚起を繰り返すことで問題点を抽出し、それを改善するとともに、インシデントの処理になれておくことで、組織全体でのサイバー攻撃への対応力を向上させることが、被害の拡大を未然に防ぐ意味でも重要だ。(佐藤)

「フードロスに関する調査」結果を発表、楽天インサイト

同調査によると、賞味期限が近い商品でも値引きがあれば「買いたいと思う」と「わりと買いたいと思う」と回答した人の割合は87.2%にのぼった。その理由は、「お得だから」との回答が最も多く76.6%、「品質や安全に問題がないから」が65.4%、「フードロス削減につながるから」が43.7%と続いた。また、食品を残すことに抵抗があるかを聞いたところ、「抵抗がある」と「少し抵抗がある」と回答した人の合計の割合は93.2%だった。さらに、フードロスをどう思うかを聞いたところ、問題視している人の割合は86.0%だった。調査結果からは、フードロス問題への関心の高さが浮き彫りになった。食品のサプライチェーンは、消費者へ倫理的な消費をうまく訴求することやフードテックなど特殊な技術で鮮度を維持することなど意識変化と技術進歩を融合した対応が求められる。(伊藤)

伊勢湾台風から60年。災害対策基本法の見直しを

60年前の1959年9月26日、台風が巨大な勢力を維持したまま太平洋沿岸を北上し、三重県や愛知県はじめ全国で5000人以上の犠牲者を出した。世にいう伊勢湾台風である。この台風の教訓から生まれたのが、我が国の災害対策の基本となる「災害対策基本法」だ。「住民の財産・生命に対して一義的な責任を負うのは市町村」「被災地への支援は現物支給」などの大原則はこの時に定められたもので、先日の「令和元年台風15号」に対しても適用されている。60年前は気象学も発達しておらず、天気予報もそれほど信頼できなかった。また、現在は人口の都市部への一極集中が進み、地方自治体では危機的な少子高齢社会が現実化している。60年前と同様に被災自治体が中心となって災害対策を進めるには、限界がある。災害対策基本法を根本から見直す時期が来ているのではないか。(大越)

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