週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団とは~暴力団対策法の限界

暴力団が積極的な関与を強める特殊詐欺で、異なる組織の組員が協力して犯行に及ぶケースが確認されている。かつて抗争を繰り返した暴力団同士の共闘の背景には、「貧困暴力団」とも揶揄された資金源の枯渇がある。今後ますます特殊詐欺の資金源化への依存度が高まることが予想される中、特殊詐欺対策と暴力団対策の一体的推進が必須だ。一方それは、「暴力団とは」「指定暴力団とは」という暴力団対策法の枠組み自体が問われている状況をも示唆している。組の枠を超えた個人レベルでの連携は「統制の緩み」であり、半グレの台頭と暴力団の潜在化の状況とあわせ、「属性」頼みの取締りは限界を迎えている。多角的にあらゆる手段を駆使して反社会的勢力に対峙していくとともに、暴力団そのものの再定義・暴力団対策法のあり方の再検討が急務だといえよう。(芳賀)

現代の世相、電凸対策は危機管理上も重要

「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」第2回検証委員会。抗議電話の音声を紹介し、「電凸」マニュアルがSNSで共有されたこと、職員の心理的ダメージの大きさを指摘し、中止の直接原因を「ソーシャルメディア型のソフト・テロ」とした。先日AERAの取材を受け、私は「電凸は切ってよい」と回答した。展示内容はともかく、電凸については真っ当な見解である。当社も多くの電凸対応を支援してきたが、その内容は「けしからん」という反対意見でしかない。何度も、あるいは長時間の電話に対応する必要はない。度を越えた行為は不当要求であり、不当要求は、金銭的、時間的、精神的なロスでしかない。電凸は切って行かないと、ロスは大きくなる。暴言や誹謗中傷は尚更だ。対応に伴うコストも大きい。電凸が民意の発露とは笑止である。(西尾)

マイナンバー、カード普及策が心配

マイナンバー制度が運用を開始してから4年が経過しているが、マイナンバーカードの普及は一向に進まない。内閣府の世論調査では、カードを「取得していないし、今後も取得する予定はない」との回答が半数を超えている。理由は「必要性が感じられない」が最多で「身分証になるものは他にもある」「情報漏えいが心配」と続く。政府は来夏以降、カードを持つ人を対象にスマホのQRコードなどキャッシュレス決済でのポイント還元を新たに始めるとしている。しかし、カードの利点をアピールしようと活用範囲を拡大すればするほど、その分、情報漏えいや不正利用の心配を膨らませている状況だ。カードを作らせるだけのキャンペーンだとするなら尚更であり、本来の目的が霞む。何のための個人番号なのか、なぜカード取得を促すのか、今一度丁寧な説明が先決だ。(佐藤)

ファミリーマート(ファミマ)店員が納税着服、内部不正対策は手口を知ることから

石川県のファミマで今年6~7月、店員が市民税等8件で約12万円を着服していたという。「納税したのに督促状が届いた」という問い合わせから8/27に判明した。収納代行業務は、委託元への情報処理に時間が掛かる上に納付処理を取り消していれば、納付者からの申告がなければ分からない。そのため、不正発覚まで月単位の時間を要することも少なくない。また、自動車税など多額になることも特徴だ。さらに紙の納付書に収納印を押して返却しレジデータを取り消す、またはスキャンしない手口から納付者は不正に気づき難い。委託元が収納業務取引を解約するリスクがあり、全体へ波及しかねない。取り消し処理後にそれを承認申請するシステム的なガードが必要だ。従業員には、不正やミスが起きる業務として監視している事を逆にオープンにすることで抑止となる。(伊藤)

企業も家庭もトイレの備蓄は必須

台風被害が相次いでいる。現地にボランティアで入っている方々の情報によると、やはり停電・断水で最も困っているのはトイレの処理だという。尾籠(びろう)な話のため東日本大震災でもあまり取り上げられることは少なかったが、トイレの清潔さは生活の質(QOL)を維持するために欠かせない要素のひとつだ。地震の場合と違い、断水時は大量の水を便器に流し込むことによりトイレを流すことができるが、15年~20年前の機種は大で13L、小でも8Lもの水を使用する(最新のエコトイレの場合は4L程度で流せるものもある)。断水時の水不足のときにこれだけの量の水をトイレに使用するのは、現実的ではない。台風という身近な災害に備えるためにも、水を使わない簡易トイレの備蓄は企業でも家庭でも必須だ。1人1日8回分を目安として1週間程度は備えて欲しい。(大越)

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