週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

サプライチェーンからの暴排が急務だ

暴力団から労働者の派遣を受けていた疑いが持たれている建設会社が、2020年東京五輪・パラリンピックの選手村工事に下請けとして参加していたという。国家的プロジェクトが暴力団の資金源となる愚はあってはならない。今後本格化するIRカジノ事業も同様の問題を抱えるが、関係する事業者に対する「厳格な背面調査」を実施するなどして、世界最高水準の「清廉性」の実現を目指している。人材不足と相まって建設事業の多重構造から暴力団関係者を排除することは容易ではないが、だからといって問題の放置はもちろん、排除に向けた努力を怠ることも許されまい。建設事業に限らず、これまで「あるべき姿」としては明確に示されていた「関連契約からの暴排」「サプライチェーンからの暴排」の実現に本腰を入れて取り組むべき時期にきていると認識すべきだろう。(芳賀)

もはや巨大台風は数十年に1度のリスクにあらず。合理的な対策の推進を!

台風19号は甚大な被害をもたらした。亡くなられた方にお悔やみ申し上げるとともに、被災された方にお見舞い申し上げたい。昨年の西日本豪雨では関西国際空港の孤立や高潮被害が発生したが、今回の台風19号では、北陸新幹線の車両基地や路線バスの車両基地が浸水した。やはり、災害特性を踏まえた対策なくしてBCPは実現できない。原因事象的な視点は不可避であり、改めて防災・BCP戦略の見直しが急務である。今回のように多くの河川で氾濫・越水が発生したり、道路の陥没や土砂崩れ、橋脚落下が発生した場合、実地調査が難しく、被害全容や孤立者の状況把握は困難を極める。官房長官は会見で、孤立者の状況について「詳細を控える」とズレた答弁をしていたが、情報開示・共有により一刻も早い対応が重要である。孤立者の一刻も早い救出を願うばかりであり。(西尾)

固定電話遮断、特殊詐欺への新しい対策

警察庁と総務省は、特殊詐欺に使われた固定電話番号を使用停止にする対策の運用を始めた。転送サービスを使って固定電話の番号を表示させる手口が急増しているためで、警察の要請を受けて通信事業者が停止手続きを行う。これまで規制外となっていた固定電話の遮断に踏み切り、深刻な詐欺被害に歯止めをかけられるかが問われる。詐欺グループはもはや周到に組織化され、摘発を免れるよう徹底した分業体制を敷くなど、高度に進化し続けている。また、実行犯たちが手にしている名簿には、相手の名前はもちろん、家族構成や貯蓄額に至るまで詳細な情報が記されており、詐欺トークのマニュアルも整備されている。今後も騙す側が有利な状況のなか、「自分や家族は騙されない」という過信を自戒し、多様化した詐欺の手口を知り、備えることで被害を防ぎたい。(佐藤)

セブンイレブン、フランチャイズチェーン(FC)加盟店への利益配分見直し

同社はFC契約を見直し、粗利益額が月に550万円以下の低収益の加盟店約7千店舗に月額20万円を実質的に支給する。高収益店舗にも別途優遇策を打つが、売上の低い店舗に利益改善の傾斜をかけることが狙いという。人手不足の深刻化による24時間営業の問題が背景にある。同社のアンケートでは、15%の店舗が非24時間営業を検討と回答しており、契約見直しに影響した。ミニストップもFC契約の見直しを表明しており、人件費や光熱費を差し引いた後の利益を本部と加盟店で分配するように変更した。この場合、結果的に本部が人件費等の一部を負担することになり、従来の粗利益分配方式と異なる。仮に、人件費の架空計上などの不正が起きた場合、それも本部が負うことになる。加盟店の公平性を維持しながらスキームを変更するには、さらに知恵を絞る必要があろう。(伊藤)

台風19号、対応の勝負は1ヶ月

前職の本社が長野市にあったため、今回の台風19号では元同僚も被災した。1日も早い復旧を願う。長野は冬の足が早いため例年11月中旬には雪が降り始める。対応はこの1ヶ月が勝負だ。行政には一刻も早く、きめ細かい対応が求められる。水害が発生した後に重要なのは①被害を受けた家屋の写真を撮る②保険会社に連絡する(火災保険が適用されるケースがある)③罹災証明書を発行してもらう-などいくつかポイントがある。信頼できるボランティア団体である「震災がつなぐ全国ネットワーク」(震つな)が、非常に分かりやすい「水害にあったときに~浸水被害からの生活再建の手引き~」をHPで公開しているので、被災された方はぜひ確認して欲しい。もちろん企業の担当者もBCPの一環として、社員が被災した後に備えた防災教育として知っておいて欲しい内容だ。(大越)

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