週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団対策法の限界~組事務所使用制限と特定抗争指定暴力団化の意味するもの

事務所使用制限命令は諸刃の剣かもしれない。暴力団の弱体化につながる一方で、活動実態の把握が困難となるからだ。ただでさえ暴力団の潜在化が進む中、事務所使用制限や特定抗争指定暴力団への指定がその傾向をさらに助長し、拠点や構成員などを隠して活動する欧米のような「マフィア化」が進むことにならないか。すでに、組長と盃を交わさずグレーにしておくことや、盃を交わしても公にしない「裏盃」が横行している実態がある。反社会的勢力と一般人との境目すら判然としなくなるところまで「グレーゾーン」が拡大、一方で暴力団自体の潜在化も進めば、本当の悪=真の受益者の摘発がより一層困難になることは明らかだ。暴力団が公然と存在する状態を前提とした現行の暴力団対策法のあり方はもはや限界であり、新たな法律や捜査手法の議論が急務だ。(芳賀)

台風などの災害に便乗した悪質商法や詐欺にご注意

9月、10月と相次いだ台風被害を受け、災害に便乗した「義援金詐欺」や、点検商法などに騙されるトラブルが懸念される。今後、生活再建段階に入り、悪質な事業者が動き始めるとともに被害が急速に増える可能性がある。また、災害とは直接関係のない地域でも、不安な気持ちや遠方の身内の安否を気遣う気持ちにつけこむこともある。市役所などの公的機関が義援金を戸別訪問で集金することや、義援金募集のために電話をかけることはない。冷静に考えれば騙されないと思いがちだが、被災者や、被災者を助けたいと熱望している人に冷静に判断してもらうというのは困難だ。だから、少しでも違和感や不安・怪しさを覚えたらまずは行政や家族に相談して欲しい。それだけでも直接的な被害に対する支援に繋がるほか、詐欺のような二次被害の防止に役立つはずだ。(佐藤)

事業承継、後継者不在率調査 東京商工リサーチ分析

同社の分析によると日本の中小企業の「後継者不在率」は55.6%と半数を超えた。2018年の「休廃業・解散」は4万6724社と過去最高を記録し、中小企業の存続が危ぶまれている。通常、事業承継は準備が十分でない場合は3年以上を要することも少なくない。にもかかわらず、経営者は後継者選びを先延ばしし易い。いざとなると分身ともいえる会社を手放すことに躊躇する心理もあろう。相続財産が少ない場合は、総じて相続人も財産が少なく「争族」に発展する。従業員への継承やM&Aも選択肢だ。経営者に決心を促すには、セカンドライフや夢を考えてもらうことが有効だろう。また、事業承継はあらたなスタートであり、事業のポジショニングの見直しにより経営が改善する例も多い。後継者は、環境の変化を捉え、自社の強みを理解し、不断の経営改善・革新が必要だ。(伊藤)

本当に復興五輪なのか

2020年東京五輪の返上に言及する論調が出始めてきた。直近のマラソン・競歩の開催地変更やトライアスロン会場の水質問題もあるが、新国立競技場建設計画の白紙化、エンブレムデザインの盗用疑惑、仏司法当局によるJOC前会長の贈賄疑惑訴追、東日本大震災に対する元五輪担当大臣の失言等々、当初から問題続発だった。コンパクト五輪を標榜しつつ予算は当初の7000億から3兆円超に膨張、暑さ対策の都税 300億円は無駄になる。"ブラックボランティア"問題まで浮上した。"アスリートファースト"は心地良い響きであるが、その名の下に金権五輪や米TV局の都合による開催日決定など、放射性物質の拡散流出も止まっていない以上、全てがアンダーコントロールには決してない。五輪終了後の東京、日本の状況が悪化した場合、責任は誰が取るのか。(石原)

「避難情報廃止論」の賛否

先日、香川県で開催された日本災害情報学会における東洋大学及川康教授の「避難情報廃止論」が賛否を呼んでいる。内閣府は2014年、行政に対し避難情報を「空振りを恐れず早めに出す」というガイドラインを作成した。しかし、最終判断は基礎自治体に任されるため、出しすぎると「狼少年」となり、避難情報が出ても避難しない住人を作り出してしまった。一方で、最近のネットの気象情報の発達は目覚しい。先日の台風では、気象情報を直接入手しているヤフーが山形市で「レベル3相当(高齢者など避難)」の警戒情報を市に先んじて発表。サイトを見た住人から市に問い合わせが殺到し、混乱をきたした。これはヤフーを非難する話ではなく、住民が行政判断よりもヤフーニュースを信頼している証左だ。本当に必要な避難情報とは何か。改めて考え直す必要がある。(大越)

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