週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

テロリスクの高まりに備えよ~事業者にできること

バグダディ容疑者殺害に伴いISの報復が危惧される状況だ。戦闘的なジハード(聖戦)を通じて究極的には「世界をイスラム化する」とのイデオロギーでつながる「思想的IS」ゆえ、テロリスクが世界各地で一段と高まったといえる。そんな中、「夢と魔法の国」ディズニーランドが入園時の手荷物検査で、金属探知ゲートとX線検査機を導入すると発表した。英断だろう。そもそも、重要インフラやソフトターゲット以外にも、薬品の販売時や宿泊・ネットカフェの利用時、賃貸契約やレンタカーの契約締結時などにおける本人確認の徹底、ネット掲示板やSNSの監視によるテロ等の予告・準備の端緒の把握、自社の従業員の中に過激思想に染まった人間がいないか(いるか)をどう見抜くかなど、テロを未然に防止するために事業者ができること、すべきことはまだまだ多い。(芳賀)

公正取引委員会、飲食店情報サイトの実態調査へ

グルメサイトの評点や検索結果の表示順位などをめぐってサイト側が不当な要求をしていないか、公正取引委員会が実態調査に乗り出した。契約料に応じて星の数や評価が恣意的に操作されているのではないかとの疑念が出ており、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)などの問題があれば、サイト側に改善を促す方針だ。事実関係はまだわからないが、星の数を人質のように使って広告料の支払いを迫るようなビジネスであれば問題だ。好意的な口コミ投稿の掲載や順位の上昇を請け負う見返りに飲食店から金を受け取る「やらせ」は日常的に繰り返されており、虚偽の実績がそこには生み出されている。サービスの提供側もサイトの運営側も表向きの評価に終始していては、それこそ口コミサイトの信用は薄くなるばかりであり、存在意義そのものが問われることになる。(佐藤)

郵便局幹部2人が切手着服、5億4千万円 不正のトライアングル

東京都内の2カ所の郵便局のそれぞれの幹部2人が、「料金別納」郵便の支払いで納付された切手を金券ショップで換金し、約5億4千万円を着服していた。本来、別納の料金として納付された切手は郵便部で使用済みとして消印をして、総務部に回して裁断しなければならないという。特にシート状の切手は、「どうせ裁断されるから」と消印をしないものがあり、それが着服された。動機、機会、正当化の3つの要因が揃ったときに不正が発生しやすいという「不正のトライアングル」が背景にあろう。私的な経済的動機は際限がないが、金券ショップで換金できることも不正を後押した。2人は責任者として秘密裏に着服する機会があり、どうせ裁断するものという正当化が働いた可能性がある。消印という小さなルール違反が大きな不正につながるという典型でもある。(伊藤)

「ボランティア不足」という違和感

度重なる風水害の爪痕を癒すため、全国からボランティア(以下、ボラ)が被災地に駆けつけている。阪神・淡路大震災では、災害に対する土木神話が崩れ、ボラというソフトの重要性が注目された。一方で、被災地の「ボラ不足」報道には違和感がある。ボラは本来、子どもへの絵本の読み聞かせや高齢者との対話など、行政の眼の届かない被災地ニーズに応えるものであり、瓦礫の撤去や危険な作業などを「行政に代わって」行う集団ではないはずだ。行政が普段からの対策を怠ったツケをボラで解消しようとしているのであれば、それは言語道断といえる。とはいえ、嘆いているばかりでは解決にならない。例えば企業は社員に対して積極的に平日ボラを推奨するのはどうだろうか。社会貢献の意味合いだけでなく、社員の結束を深める効果もある。ぜひご一考願いたい。(大越)

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