週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

コンダクト・リスクへの対応が急務だ
~未来永劫成立し続ける画一的なビジネスモデルなど存在しない

金融庁は「ルールの整備よりも、社会の目、社会の要請、対企業といった観点では各種ステークホルダーの要請といったものの方が、より早いスピードで変化」する中、「そのような要請に反する行為に対しては、たとえ明確に禁止するルールがない行為等であったとしても、それが不適切だとの見方が社会的に高まれば、容赦のない批判が寄せられ、コンプライアンス・リスクが顕在化し、企業価値が大きく毀損される」と指摘する。今後、「何が問題となりうるか」をいち早く察知し対応できる「組織的リスクセンス」こそ重要となろう。一人ひとりが「知識」「常識」「良識」「見識」「倫理観」を磨き、自立的・自律的に「何を成すべきか」を考え抜く力を高め、お題目でない「良質な社風」「健全な統制環境」を醸成することが持続可能性を高めることにつながる。(芳賀)

クラウドの障害、浮き彫りになる課題

クラウドで業務用ソフトを使うマイクロソフトの「オフィス365」で、メールシステムなど複数のサービスでつながりにくい障害が発生した。8月にはアマゾンが提供するクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」で大規模な障害が発生し、決済サービス「PayPay」や、ユニクロのECサイトなど30社以上に影響が及んだ。システムや運用をクラウド化することは責任をクラウドに丸投げすることではなく、障害によってインフラやサービスが停止した際の責任や影響も考慮しなければならない。いまやクラウドは、通常のオンプレミス(自社運用)より堅牢でセキュアだという認識が一般的だが、それでも落ちるときは落ちる。クラウドによる障害を見越した企業の事業継続計画も重要だ。一連のトラブルは、多くの事業者にクラウドのリスク管理について改めて考える契機となっただろう。(佐藤)

大麻栽培の「師匠」逮捕、正しい知識で若年層への汚染を防げ

大麻の栽培に使われると知りながら、肥料や栽培器具を販売したとして園芸用品販売店経営者が逮捕された。一部の顧客から「師匠」と呼ばれ、栽培方法などを指南していたとみられる。警察庁の組織犯罪の情勢資料によると、大麻事犯の検挙人数は、平成26年の1761人から平成30年の3578人と4年で2倍以上に増えた。令和元年上半期では2093人と通期で4千人を越す勢いだ。また、年齢層では20歳台が最多で、次いで20歳未満と若年層への汚染が顕著で、覚醒剤の30歳代、40歳代が最多構成とは異なる。中学生も13人いた。国際郵便による密輸入による入手の他、栽培も大麻事犯の大きな特徴であり、一般人への汚染が広がる原因のひとつだろう。ネットや口コミの誤った情報が若年層に蔓延する現状では、自社の社員に限っては大丈夫という楽観的な教育姿勢から見直すべきだ。(伊藤)

通勤・帰宅時の災害について

福島県相馬市に住む61歳の女性Aさんは、東日本大震災で発生した9mの津波を逃れた経験を持つ。先日25日の台風21号で、Aさんは勤め先のホテルから自宅に住む障がいを持つ子どもを迎えに行き、再度高台にあるホテルに避難する途中で親子とも流された。夫を15年前に亡くし、2人の子どもを支えていた頑張り屋のお母さんだったという。千葉県茂原市では、派遣社員の53歳の女性Bさんが勤務先から自転車で自宅に帰る途中で行方が分からなくなり、4日後に遺体で発見された。災害時に通勤や帰宅途中で亡くなる人の記事を読むたび、胸が痛む。誰が悪いわけではないが、勤務先の会社が「もう少し何かできることはなかったか」と、どうしても考えてしまう。今日で台風21号から1ヶ月。すでに過去の出来事になっている感もある。自戒しつつ次の災害に備えたい。(大越)

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