週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

特殊詐欺被害防止の困難さ~最適解はあるのか

コンビニや銀行などで特殊詐欺被害を阻止した事例が多数報じられている。平時からの事例の共有や研修、上司と部下の良好なコミュニケーション、警察等とのスムーズな連携が功を奏した形だ。さらに、「他店で電子マネーを購入するのではと客の車のナンバーを控え警察に通報」「高齢者から電話を代わって直接話して撃退」「普段と違うものを買おうとしたのを不審に思い通報」「ATMを利用した会社員が隣の高齢者の行動を不審に思い通報」といった事例からは、「リスクセンス」に加え「声をかける勇気」や一歩踏み込んだ対応という「お節介さ」が成否を分けていることが分かる。だが一方で、「騙されるのは高齢者」との先入観から、若者の架空請求詐欺被害が増加、水際で防ぐ難しさに直面している。正に「最善は次の不適応となりかねない」構図に陥っている。(芳賀)

「給付金振り込むので…」コロナ便乗詐欺への注意

警察庁によると、新型コロナウイルス感染に便乗した詐欺事件(未遂も含む)の被害が3月上旬以降、全国で88件確認され、被害額は約8395万円にのぼる。詐欺グループは自治体や金融機関の職員を騙り、「給付金の手続きを代行する」などとして被害者宅を訪れキャッシュカードを騙し取っている。特に高齢者は、在宅が長期化している今、詐欺グループにとっては絶好のターゲットだ。普通に考えれば騙されないと思いがちだが、不安や混乱の状況下において本人に冷静な判断だけを求めるのは難しい。本人の注意に加え、周囲からの働きかけとして騙されそうな状況を家族や関係者が把握できれば、支援・阻止できる可能性が出てくる。本人が少しでも違和感や怪しさを覚えたら、行動を起こす前に家族や専用窓口へすぐに相談できるような環境を整えておくことも重要だ。(佐藤)

大相撲パワハラ、相撲協会に求められるガバナンス

日本相撲協会は、弟子3人に対する暴力や暴言があったとして中川親方を2階級降格させる懲戒処分を発表した。併せて中川部屋を閉鎖し、所属の力士は他の部屋が受け入れるという。かつて社会に衝撃を与えた時津風部屋での暴行致死事件以来、問題は解決していない。根本的な原因は、閉鎖社会ゆえの身内ルール、相撲部屋ありきのガバナンスの欠如だ。協会は相撲部屋に力士の募集・育成、生活を委託しているため現場の親方の力が強い。理事会に現場の親方が入っているため、師匠が審判と理事、さらには評議委員を兼任するという状況は、野球なら監督やコーチが審判をしているようなものだ。力士の異動が禁じられているため相撲部屋間の競争はなく協調関係だ。協会のガバナンスは、経営と現場の分離、さらには協調に競争をどう配合していくかに懸かっている。(伊藤)

政府、避難勧告と避難指示を一本化へ

政府は26日、避難勧告と避難指示を「避難指示」に一本化する方針を固めた。昨年の台風19号などを受け、自治体が出す避難指示と避難勧告の情報について全国3000人にアンケートを行ったところ、2つの情報の意味を正確に理解していたのは17.7%にとどまっていたという。避難の情報が一本化されれば、災害対策基本法に基づく避難勧告と指示の規定が、法が定められた昭和36年以来初めて改定されることとなる。もともと国が定める警戒レベル4のなかに「避難勧告」「避難指示」が混在しており、その分かりにくさが指摘されてきた。指示は「避難勧告を発した後に、さらに局所的に緊急を要した場合に行う指示」と解されているが、住民にきちんと伝わらなければ意味をなさない。政府は昔の法律に縛られず、速やかに避難者に寄り添った警報のあり方を模索してほしい。(大越)

■防災気象情報と警戒レベルとの対応について(気象庁)

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