週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

目利き力が問われている

コロナ禍で外出を控えた消費者のネット通販利用をめぐるトラブルが増えているとして、消費者庁は、デジタル・プラットフォーム上で取引の場を提供する事業者に対して、「場の健全性」を確保するための本人確認の強化など規制強化に向けて検討する方向性を打ち出した。一方、気候変動リスクへの対応、資源を巡る紛争や人権問題の解決を後押しする有力な手段として、ESG投資への期待が高まっていることに伴い、サプライチェーンから「人類の幸福への侵害行為」に関与する取引先の排除が厳しく求められている。さらに、米は事業者に向けて北朝鮮関連制裁の厳格化を勧告した。企業実務においては、サプライチェーンや取引の場の健全性の確保、KYCだけでなくKYCCの視点や取引選定基準の多様化・厳格化、選定手法の高度化や精度向上などが急務と認識すべき状況だ。(芳賀)

SMSに届く詐欺メッセージに注意

SMS(ショートメッセージサービス)を使った詐欺「スミッシング」の被害が増加している。「お荷物のお届けに上がりましたが不在のため持ち帰りました」「利用料金の確認が取れていません」といったメッセージとともにフィッシングサイトへのURLを記載したメッセージを攻撃対象に送信し、個人情報を窃取したり、スマホにマルウェアをインストールさせたりする。SMSは攻撃者とって電話番号さえ分かれば確実に送信できるという点で、使い勝手と効率が良く、今後も同様の犯罪は広がる可能性がある。身に覚えのないメッセージは正規のサービスのものであるかきちんと確認し、記載されたURLに不用意にアクセスしないことが基本だ。また、日常的に使用しているサービスは警戒心が低くなりがちだが、そこには偽物が紛れ込んでいるということを認識しておきたい。(佐藤)

センスメイキングがあるから危機を乗り越えられる ウィズコロナ社会の基本理 念、首相官邸「未来投資会議」

同会議は、長期的なビジョンに立った不可逆的なビジネスモデルの変化をそのひとつに挙げている。「新しく」「予期できず」「混乱的」で「見通しが立てにくい」ときにその環境をどう解釈するかという多義性が顕著になる。組織の自社らしさの解釈の足並みを揃えることは多義的な環境では重要になる。リーダーに求められるのは、多様な解釈の中から特定のものを選別し、それに意味づけ、周囲にそれを理解させ、納得・腹落ち(センスメイキング)してもらい、組織全体での解釈の方向性を揃えることだ。センスメイキングが高い程、極限状態を乗り越えられる。センスメイキング理論では行動が重要になる。新規事業でも、まず初めは行動し、次第に方向性が見えてきて、さらに形になっていく。試行錯誤を重ね、もがいている間に納得できるストーリーが出てくる。(伊藤)

避難所のクラスター感染に対し、冷静で迅速な対応を

特別警報級と評された台風10号。九州地方を中心に最大で850万人以上が避難し、眠れない夜を過ごした。甚大な雨量は、今後も土砂災害などの2次被害をもたらす可能性が高い。引き続き災害に対する警戒を強めて欲しい。もう1つ予想されるのが、避難所でのクラスター感染だ。誤解のないようにしておきたいが、今回は新型コロナのリスクを受容したうえでの避難であり、その行動は正しい。同時に、密になる避難所がクラスターの温床になることは容易に予測ができる事態だ。今後必要になるのは、避難された方々の優先的なPCR検査であり、感染に対する理解となるだろう。また、どのように避難所が対策を施したとしても、今回のような緊急事態にクラスターが発生する事態を防ぐことは不可能だ。決して犯人探しをせず、現実に対して冷静で迅速な対応が望まれる。(大越)

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