週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

注意喚起だけでは特殊詐欺被害はなくならない(2)

愛知県警の特殊詐欺被害者に関するアンケート調査によれば、「友人はいるが心は通じていない」と感じることが「常にある」「時々ある」と回答した割合が、詐欺被害に遭った人で全体の36.6%、詐欺被害を免れた人は11.5%、「同じ町内で行事や会合へ一緒に行く人」が「誰もいない」と回答した割合が、被害者の43.4%に対し、免れた人は13.7%など、顕著な差が見られたという。さらに、事件前「自分は被害に遭わない」と考えていた人の割合は、被害者で59.4%、免れた人は28.8%とこちらも大きな差異が認められた。人間関係が希薄だと考える人、「自分は騙されるわけがない」と過信し、「不都合な真実」を過小評価する人ほど被害に遭っている実態から、特殊詐欺被害の抑止には、社会と高齢者がいかに「つながる」か、「お節介」にまで踏み込めるかが重要だと言えよう。(芳賀)

ゼロトラストという考え方

日本企業を含む約900社で、社内システムに接続するVPN(仮想私設網)の暗証番号などが流出したことが報道された。攻撃者が一度内部に忍び込んで認証・信頼された状態であれば、境界だけの防御では入り込まれた後の振る舞いには手が出ない。重要な資産を守るために戸口をしっかり閉めて泥棒が入り込まないようにするという、境界型のセキュリティだけに頼らず、社員や社内デバイス、アプリケーションも安全ではないという「ゼロトラスト(信頼できるものはなにひとつ無い)」の前提に立つ必要がある。外部に加え、内部のさまざまな機器や資産も考慮に入れて対策・確認していくということは人手やリソース面での負担も伴うが、社内に留まらず、IoTや取引先、サプライチェーン全体でゼロトラストの前提に立ったセキュリティ体制の整備と検討が求められる。(佐藤)

中間管理職の負担増、人事コンサルティングのリクルートマネジメントソリューションズ調査

同社の調査では「中間管理職層の過重な負担」が課題の1位となり、次いで「中堅社員が小粒化」、「次世代の経営を担う人材が育っていない」が続いた。求められるリーダーシップは時代と共に変化する。リーダーの個性や行動が組織のパフォーマンスに影響した時代から、リーダーと部下一人ひとりが質の高い交換関係性を築けるのかにシフトした。これが高い程、パフォーマンスや組織への忠誠が高まり、離職率も低下する。ただし、えこひいきが問題となる。逆に全員をえこひいきできれば最強だ。現実には、従来のラインという垂直的な関係ではなく、メンバーが時にリーダーのように振舞って影響を与え合うという水平関係のシェアード・リーダーシップが重要だ。全員がリーダーシップを執りながら互いに啓発し合い、知識・意見を交換する姿が課題の解となる。(伊藤)

コロナ禍の教訓を備蓄に生かせ

明日は9月1日、防災の日。コロナ禍の中、企業の担当者にはぜひ災害時の備蓄品を見直してほしい。帰宅困難者対策で社員の3日分の備蓄を実施しているなら、そこにマスクやアルコール消毒液、非接触型体温計、ペーパータオル、清掃用の家庭用洗剤など、感染症対策用の備蓄品を加えたほうがよいだろう。かねてから、避難所のノロウイルス対策として次亜塩素酸ナトリウムや使い捨てエプロン、使い捨て手袋やN95マスク、ゴーグルなどの必要性が指摘されてきた。コロナ禍の教訓として、ぜひ備蓄品の項目を見直してほしい。管理者には、教育も必要だ。マスク、ゴーグル、手袋、エプロンの正しい着脱法やゾーニングの考え方は、社内避難所運営においても全く変わらないものだ。他にも密を避けるための居住エリアの考え方など、担当者に与えられた課題は多い。(大越)

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