週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

不正の跋扈を許すな~不正は次の犯罪を生む

持続化給付金の不正が疑われる申請が少なくとも約6,000件、既に不正受給された疑いのある事例の総額は約30億円以上に上るという。コロナ禍で真に支援が必要な事業者に迅速に届くことを最優先にした制度設計上の瑕疵はあるが、今は、軽い気持ちで不正受給に加担した者から悪質な指南者、暴力団まで犯罪者には厳格に対処していくこと、不正を許さない姿勢を徹底して打ち出し、出血を止めることが重要だ。一方、全国の特殊詐欺の被害が後を絶たない中、兵庫県における被害の深刻化が顕著だ。兵庫県警は「さまざまなデータを解析すると、兵庫は間違いなくターゲットになっている」と指摘した。背景要因を詳細に分析し被害の未然防止に活かす取組みが急務だが、2つの山口組の抗争の影響も大きいはずだ。不正受給や特殊詐欺が犯罪を再生産している事実は重い。(芳賀)

政府・国民の危機対応力が顕著に。経済振興名目の短期視点が将来大きな税負担を生む

新型コロナの感染者が激増する中、Go Toトラベルは、大阪市や札幌市を除き依然継続されている。Go Toトラベルによる感染者急増のエビデンスはないというのが政府の立場だが、それは因果関係を否定できないということでもある。感染症は人伝いに移る以上、移動を最低限にするのがリスク管理であり、この段階でも従来の判断基準を変えずに、依然として旅行促進による人の移動を容認していることは、危機管理の失敗例の現在進行形と言える。危機時は、往々にして、人々は情報を都合よく解釈し、自分は大丈夫と思い込み警戒心を緩め、被害を悪化・拡大させるが、今まさにその状況だ。「失敗の本質」は、戦後75年を経た今なお繰り返されている。PCR検査・国民の旅費・食費の一部、助成金、医療現場の支援等全て税金だ。将来の税負担は極めて大きくなる。(西尾)
※2020年12月14日の情報です

サイバー保険加入企業7.8%、「サイバーリスク意識・対策実態調査2020」

一般社団法人日本損害保険協会は「サイバーリスク意識・対策実態調査2020」を発表した。その中で、サイバー保険に「加入している」企業は7.8%で、「今後加入予定」は19.4%、加入理由としては、半数(51.3%)が「完全にサイバー事故を防ぐことはできないため」で、非加入理由としては「保険の補償内容や保険料についてよく知らないため」(40.7%)が最も多い。増え続ける攻撃への備えやリスクの軽減策として、サイバー保険の果たす役割は今後も大きくなるだろう。一方、すべての被害を補償するわけではないため、保険商品の内容を確認し、自組織の想定するリスクに照らして検討することが重要だ。また、保険はあくまで攻撃を100%防ぐことは困難という現実を直視した上での対策の一つであり、日ごろの着実な安全対策・実践と両輪であることを認識しておきたい。(佐藤)

忠臣蔵と火の用心

年末にちなんだ防災ネタを一つ。忠臣蔵といえば1701年、吉良上野介にいやがらせを受けた(諸説あり)浅野内匠頭長矩が江戸城松之廊下で上野介に切りかかったことに端を発する、日本人なら誰でも知っている人情劇だ。実は浅野家は初代長直の時代から代々火消しに力を入れた家系で、長矩も江戸在留中に現在の墨田区あたりの火消大名に任命されている。1698年の江戸の大火で吉良家は全焼してしまうが、この時の消防の指揮を執っていたとのが長矩だったというのだ。劇中に出てくる、いわゆる討ち入りの装束も火事装束に似せたものだった。こう考えてみると、初めに遺恨をもっていたのは上野介のほうだと考えても不思議ではない。コロナ禍でさまざまな問題が発生しそうな年の瀬ではあるが、まずは基本に立ち返り、家の火の用心から始めてみるのはいかがだろうか。(大越)
▼ (参考)「忠臣蔵と火事の関係」(文化デジタルライブラリー/独立行政法人日本芸術文化振興会)

厳格な規定整備の必要性

現在開催されているラグビー全国大学選手権、報道によると、帝京大学と対戦する予定であった大学が、部員のコロナ感染の影響を受け出場を辞退した。ラグビー日本協会は、「第57回全国大学学ラグビーフットボール選手権大会新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」に基づき、十分な準備期間が取れないとして、関西学院大学の繰り上げ出場を認めず、帝京大学は不戦勝となった。しかし、日本協会は、関西学院大学から抗議を受けることとなり、結果、日本協会は「繰り上げる場合、『感染判明が試合の○日前まで』という期日を設けていなかった規則の不備」であったとして、同大に陳謝したとのことである。企業内における各種規定等も、同様に不備があると、後々、争議になりかねない。これを他山の石とすべく、再度の見直しを図ってはいかがだろうか。(中西)

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