週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

AML/CFTにさらなる深化を~犯罪収益移転防止に関する年次報告書

報告書からは事業者の取組みが年々進展している状況が見てとれる。だが、それは犯罪組織も同様だ。取組みの進化・深化とはあくまで社会情勢や犯罪組織の活動実態等の変化との関係性の中で評価されるべきもので、数字の増減だけでは分からない。例えば、疑わしい取引の届出件数は金融機関以外の事業者の伸びが顕著だが、犯罪の手口の高度化や国際的な取組みレベルからみればまだまだ不十分だ。また、暴力団の扱う資金はすべて犯罪収益であって、本質的にマネロンとの親和性が高いが、報告書にある数字は圧倒的に小さく、彼らが巧妙に包囲網をすり抜けている実態を逆に浮かび上がらせている。さらに、不正口座や犯罪インフラ事業者の存在感は肌感覚では数字以上のものがある。報告書から見えてくるのは、数字だけでは見えてこない犯罪組織の真の脅威だ。(芳賀)

東日本大震災から10年。特定専門家集団の弊害は今も続く

緊急事態宣言が延長された。以前も書いたが、今後、緊急事態宣言の効果を発揮させる為にも存在意義を薄めてはいけない。今は「信号は赤から黄色に変わったが、黄色である以上警戒は必要」「陽性者数が一気に増えると再び緊急事態宣言を出し、信号を再び赤にせざるを得ない」「そうならないため、引き続き警戒を続け感染予防に努めてください」とメッセージを発する段階だ。同時に緊急事態打開のための危機対応が必要で、緊急事態の延長は危機管理の失敗だ。緊急事態宣言の法制化時、恣意的行使による私見制限が危惧された。特定利権の専門家集団の判断を基に緊急事態宣言を延長することは恣意的運用とも思えるが、当時法制化に反対した人達は延長に賛成していたりする。東日本大震災から10年。専門家の弊害という当時の教訓は生きていない(西尾)

中高生のネット利用調査、「ネット詐欺にあいそうになった」

Googleが先日公開した「中高生のインターネット利用白書2021」によると、インターネットやアプリの利用時間は、中学・高校とも学年が上がるごとに長くなる傾向にある。また、「SNSで知らない人から不快なメッセージがきた」り、「ネット詐欺にあいそうになった」ことがトラブルとして確認されている。最近は、中高生が有害サイトへのアクセスをきっかけに猥褻・恐喝事件に巻き込まれたり、薬物仲介や振り込め詐欺などの犯罪に加担させられたりすることもある。いま自分がおかれている状況が安全か危険なのか、その判断はインターネットの世界では大人でも難しい。先生や保護者、大人が見本となるような姿勢と意識を持つことはもちろん、その危険性を知ったうえでルールやマナーがなぜ必要なのかを理解してもらえるための丁寧で十分な教育とフォローが大事だ。(佐藤)

コロナ禍のデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応 求められるリスク・テイキング

テクノロジーを利用して、事業の対象範囲を根底から変化させる、いわゆるDXが収益を左右する。「エコシステムの破壊的な変化」が加速度的に進んだ結果、DXへの対応もスピードが必要だ。どのような「内部エコシステム」が「変革を図ることで価値を創出」できるのだろうか。そこで「両利きの経営」が注目される。革新に悩む企業は、目の前の知と知の組み合わせをやり尽くして、新しい知が生まれなくなる。自分の認知の範囲外にある知を探索し、既存の知と組み合わせるという知の探索が必要になる。ただ、知の探索だけではビジネスにならない。収益化には徹底的に磨き込む知の深化が必要だ。一方、知の探索は不確実性が高い。多くの挑戦は失敗に終わるため、それを許容する組織の合意や仕組みが不可欠である。知の探索にはリスク・テイキングが必要なのだ。(伊藤)

2011年の「隠れた被害」を忘れるな

東日本大震災からもうすぐ10年が経つ。本日は当時の隠れた被害について振り返ってみたい。1つは千葉県北東部にある旭市の津波。高齢者ら16人の犠牲者が出た。最大の波が到達したのが、地震が発生してから約2時間半後の夕方の時間帯であったため、避難先から自宅に戻り始めた住人が少なくなかったという。もう1つは福島県の山間部で発生した津波。須賀川市にある藤沼ダムが地震による揺れで決壊し、山間部の集落に流れ込んで8人の犠牲者が発生した。東日本大震災の翌日には、長野県北部の栄村で震度6強を観測。3人の犠牲者と60人以上の負傷者を出した。数日経過した3月15日には静岡県東部の富士宮市を震度6強の地震が襲い、22人の負傷者が出ている。記録ではほかにも数多くの「隠れた被害」が報告されている。当時の教訓を忘れないようにしたい。(大越)

ワクチン接種の拙速は命取り?

米国CDC(疾病予防管理センター)とFDA(食品医薬品局)が共同運用するVAERS(ワクチン有害事象報告システム)最新データ(3月7日)では、昨年12月14日から2月26日の間に7,045万回分の新型コロナワクチンが接種され、深刻な副反応4,424件を含む25,212件の有害事象事例と1,265件の死亡事例が報告された。180人の妊婦への副反応(流産や早産)も報告された。総接種回数から見れば、僅かな割合だがVAERSへの報告例は増加し、未報告分もある。欧州のワクチン有害事象報告(EMEA副作用電子報告データ)システムでは、直近で有害事象事例114,906件、死亡事例3,292件が報告された。死者の平均年齢はともに80歳前後だが、まだ実験段階の各社のワクチンを有効・安全であるかのように喧伝する中、副反応の具体的データは報道されない。その上でワクチンパスポートまで導入しようとの狙いは何か。(石原)

コロナ禍副業の保険加入等は、企業側も確認を

コロナ禍以降、料理宅配サービスは急速に拡大し、利用者数は昨年同時期の3倍にもなる。同時に配達員も急増し、会社員や飲食店員が副業とすることも多い。一方で、宅配員は個人事業主であり、労災保険の対象とはならない。万が一、事故を起こした場合は労災が適用されず、民間の保険に頼るしかないのが現状である。近年の自転車事故の損害賠償額には、1億円近い事案もあり、罰則はないものの、条例により自転車損害賠償責任保険等の加入が義務付けられている地域もある。自転車損害賠償責任保険は、火災保険や自動車保険に付帯されていることも多いが、補償や適用条件等の内容の確認はしておくべきだろう。宅配員に限らず、従業員が副業を行う場合は、保険への加入など、必要な手続きをしているか、企業側も念のために確認をしておくことをお勧めする。(加倉井)

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