週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴排条例10年~成果と課題

社会と暴力団との関係を断つことをめざす暴排条例がすべての都道府県で成立して10年が経過した。この10年で暴力団を取り巻く状況も大きく変化した。何より企業や社会の暴排の取組みがその資金獲得活動に大きな打撃を与えたことが大きな要因だと高く評価したい。一方で、暴排の深化と両輪の離脱者支援については十分な成果を挙げてはいない。SDGsが盛り上がる中、「誰ひとり取り残されない社会」を実現するには「社会的包摂」の視点は外せない。暴力団離脱者や出所者、薬物事犯者など、「強く更生したいと願う」者に対して、それを受け容れる土壌を創り出すことが今後10年の社会的課題の一つとなる。さらには、反社リスク対策も「形式」から「実効性」へと軸足を移す必要がある。変わりゆく反社会的勢力と対峙する私たちも変化し続けなければならない。(芳賀)

顔認証システムの運用 法的知見と対処ノウハウが求められる

「顔認証データ」を活用した防犯システムが広がりつつある。過去の万引き犯やその疑いがある人物に対し注意を促す仕組みだ。それには2つの問題がある。ひとつは顔のデータに関するものだ。個人情報保護法では、DNA、顔、虹彩、歩行の様態などを「個人識別符号」として個人情報と定義している。つまり、防犯カメラを通じて収集したデータの利用目的を店頭に告知するなどの対応が必要と考えられる。もうひとつは、顧客心理の問題だ。善良な顧客が「監視」に対して許容するかということだ。顔認証システムは高度な分析や瞬時の判定など価値を創造することは間違いない。一方で、顧客の権利や利益を侵害しない運用が求められる。さらに、「ヒット」したときの組織的対応を定める必要がある。法的な知見や万引き犯に対する対処のノウハウの両面が重要となる。(伊藤)

災害時の氏名公表、個人情報保護の例外へ

内閣府は9月16日、災害時の安否不明者の氏名公表に向け、個人情報保護条例の例外規定適用の検討を促す指針を都道府県に示した。今年7月3日に発生した静岡県熱海市の土石流災害では、行方不明者の氏名公表が捜索対象の絞り込みに役立ったという。災害時の氏名公表については賛否両論分かれており、DV被害やストーカー被害に遭っている場合も公表されてしまうという危険性から「家族の同意を得てから」公表するケースが多かった。富山県などは指針を受け、ガイドラインを作成。原則的には人命救助優先で迅速に公表するとしながらも、DV被害などで住民基本台帳の閲覧が制限されている場合や、公表後に家族からの不同意の申し出があった場合は公表を取りやめる方針だ。「個人情報は命を守るためにある」と話す弁護士もいる。今後も活用方法を模索したい。(大越)

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