週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「犯罪インフラ」の無効化を急ぐべきだ

「050」で始まるIP電話を悪用した特殊詐欺事件が相次ぐ。今年1~6月に特殊詐欺に使われた電話番号は、固定電話の4,228件(58%)に次いでIP電話1,736件(24%)が多かった。直近でも、2013年以降全国で約4,600件、80憶円にものぼる被害をもたらした再犯業者が組織犯罪処罰法違反で摘発された。警察は詐欺への悪用が判明した場合に電話番号を利用停止にするなどの規制を導入したが、IP電話の「犯罪インフラ」化の問題は10年近く前から認知されており、対応の遅れが被害の拡大を招いたのも事実だ。一方、ドローンの持つ「犯罪インフラ」性も深刻であり、テロ組織が量産型のドローンを攻撃・偵察手段として利用した例、国家元首の暗殺計画に使用された例のほか、最近も重要インフラへの攻撃に使われた。脅威がすでに顕在化している中、これ以上の対応の遅れは許されない。(芳賀)

▼総務省 電気通信事業者による特殊詐欺に利用された電話番号の利用停止等の対象の追加

顔認証カメラによるデータを人工知能(AI)で分析 ローソン

ローソンは日本マイクロソフトと連携し、AIを活用した店舗運営改革に乗り出す。店舗にカメラやマイクを設置し、客数や滞在時間、従業員の声掛けなどをデータ化する。データ分析にAIを活用することで、地域や客層の応じた商品構成や陳列場所などの商品展開と商品説明や従業員の声掛けといった販売促進への効果を狙うという。今月から横浜市内で実証実験を始めた。顔認証技術を使い、映像の顧客の動線や立ち止まった回数のほか、商品陳列や説明文など100項目以上のデータを抽出する。さらに、購買データと会員データを組み合わせてAIで分析することで、プロモーション効果を可視化する。AI対応カメラを巡っては個人情報管理などへの懸念が根強いため、自身の購買行動が「丸見え」となる顧客への告知と理解、さらには社会的コンセンサスの形成も必要になる。(伊藤)

攻撃を受けることを前提とした抜本的な対策を

徳島県の山間部に位置する、人口8,000人程度のつるぎ町。この町の医療を支える町立半田病院が、コンピューターウイルスによるハッキングで未曽有の危機に陥っている。11月28日付の朝日新聞によると、「ロックビット」を名乗る国際的なサイバー集団によるランサムウエア攻撃により、電子カルテや会計システムが全てダウン。過去分も含めて8万5千人のデータが失われ、事実上機能を停止した。現在は「必要最低限の診療を行う」方針で、来年1月の再開を目指すという。会見で「なぜこんな小さな田舎の病院を狙ったのか」と医者は憤っていたというが、ハッカーにとっては田舎であることは関係なく、脆弱性のあるシステムを使っている医療機関をハッキングしたに過ぎない。今後、同様の被害は必ず増える。攻撃を受けることを前提とした、抜本的な対策が急務だ。(大越)

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