週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

マネロン対策システム共同化の課題

FATFの問題意識は「システムの導入の有無ではなく、システムを使いこなせていない」点にある。設定したシナリオの精度の低さ(ルールベースへの偏重・単純なシナリオ設定など)や、犯罪手口の変化への対応の遅れこそ根本的な問題だろう。常に最新の事例をふまえ、かつプロファイリング系のシナリオの導入といった「取組みの高度化」が重要だ。また、本システムに反社チェック機能はなく、NRA(犯罪収益移転危険度調査書)において危険度の高い主体とされた「暴力団」や「反社会的勢力」の排除に向けた取組みの高度化は事業者に委ねられ、(網羅性や時系列的な厚みの点で貧弱な反社リストの問題とあわせ)実効性という点で甚だ心許ない状況だ。AML/CFTは一過性の取組みではない。常に高度化に向けて犯罪者との知恵比べに勝ち続ける「本気度」が求められている。(芳賀)

リスク管理の観点から改正公益通報者保護法を考える~2

※当社の公式見解ではなく、筆者個人の見解です。

通報の調査・是正の過程では、相当程度、対象部門等が特定されるリスクがある。対策を効果的に進める為には、不利益取扱いを禁止した上で、部門責任者等も巻き込みながら取り組む必要がある。是正策のフォローも考えれば、組織内での情報共有は不可欠だ。通報者が特定される情報を共有せざる得ない場合もある。しかし、担当者に守秘義務が課されてしまうと、通報者特定情報の漏えいを懸念し、社内での対応策の相談や調査・是正の実務を躊躇する場合も生じる。通報者との関係・交渉による承諾を取り付けることに注力し、承諾がない場合は対応を打ち切る、間接的な調査等を行うという手法も、公益通報の場合は、社外への通報を助長する可能性があり十分な担保にはなり得ない。結果として公益通報事実が解消されず、本末転倒の事態になりかねない。(西尾)

▼改正公益通報者保護法

▼参考ブログ ビジネス法務の部屋(山口利昭弁護士)

▼リスク管理の観点から改正公益通報者保護法を考える~1

統合社会契約理論(Integrative Social Contract Theory:ISCT)が示す企業倫理規範

企業が倫理的事件に直面するケースが目立つ。最近では、ウイグルやミャンマーにおける人権侵害で、企業がとるべき行動が問われる。Salesforceの会長兼CEOは、「企業の存在目的は株主に儲けさせることだけにあるのではない。世界のあり方をよくしなければならないし、それによって一般人の価値も上げなければならない」と述べている。グローバル化により、異なる倫理規範の衝突が起こる。ISCTでは「国家、民族、文化、宗教などを超越して持ちうる普遍的な規範」をハイパーノーム(地域社会固有の規範はローカルノーム)と呼び、その動きが盛んだ。国連のグローバル・コンパクト、ESG投資、SDGs等もその流れだろう。ローカルノームの衝突を減じるためにも人類がハイパーノームを求めているとも解釈できる。企業倫理の規範化進捗による企業ガバナンス進展への期待がある。(伊藤)

日向灘を震源とする地震、引き続き警戒を

22日土曜日午前1時8分ごろ、日向灘を震源とするM6.6(暫定値)の地震が発生。大分県で震度5強を、熊本・高知県で震度5弱を観測した。この地震の影響による津波は発生しなかったが、その後、同日午前11時半までに九州・四国地域で震度1以上の揺れが25回観測されており、気象庁は「今後1週間程度は同じような揺れを伴う地震に注意してほしい。特に後2、3日程度は規模の大きな地震が起きることが多くある」と呼びかける。日向灘は国が想定している南海トラフ地震の震源域の西の端にあり、過去M7クラスの大地震が繰り返し発生している。昭和43(1968)年にはM7.5の地震が発生し、四国で最大3メートルを超える津波が観測された。昭和59(1984)年にはM7.1の地震が、平成8(1996)年にはM6.9の地震がそれぞれ発生している。現地では引き続き警戒していただきたい。(大越)

Back to Top