週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

本質を見誤るな~「実質的支配者リスト制度」の課題

法務省と金融庁、金融機関は今日から非上場を含む株式会社約350万社に、大株主に関する情報を法務局に提出するよう促す「実質的支配者リスト制度」を開始する。新制度は株式会が大株主の名称や保有割合、住所などの情報を書面で提出、金融機関が大株主情報を把握することでAML/CFTの実効性を高める狙いがある。だが、課題も多い。提出は任意で罰則がなく、犯罪者の側から見れば抜け穴だらけだ。金融機関が提出を義務化する可能性もあるが、法制化はまだ先の話となろう。さらに最大の問題は、「実質的支配者とは何か」という本質から外れた実務が定着する可能性があることだ。法人の実質的支配で、株式保有率はあくまで一つの指標に過ぎない。反社会的勢力はその威力を背景として「人」を支配する。本質を見誤ると本制度自体が犯罪インフラ化するリスクを孕む。(芳賀)

▼法務省 実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)

リスク管理の観点から改正公益通報者保護法を考える~3

※当社の公式見解ではなく、筆者個人の見解です。

医師や弁護士等、国家資格の保有者に、職務上知りえた情報に守秘義務が課されるスキームは一般的であり、担当者個人に罰則が課せられる条文が置かれることにも違和感はないが、今回、公益通報対応業務従事者の国家資格制度等は導入されていない。業務従事者は組織で働く普通の民間人である。なぜ、組織でまじめに働く従業員が、刑事罰の対象になりうるような不安定な地位に置かれ、怯え、悩みながら業務に従事しなければいけないのか。本来刑事罰を科すなら、不利益取扱いに関して経営者等を対象とするのが最も効果であるにもかからず、担当者個人に対して、「通報者を特定する情報を漏らしたこと」に罰則を科す、極めて奇怪でアンバランスな法整備がなされたことは、誠に遺憾である。(西尾)

▼改正公益通報者保護法

▼参考ブログ ビジネス法務の部屋(山口利昭弁護士)

▼リスク管理の観点から改正公益通報者保護法を考える~2

濃厚接触者の自宅待機期間が7日間へ

1日の新型コロナウイルス感染者数が1月28日、初めて全国で8万人を突破。亡くなった方は44人に上った。厚生労働省の発表によると自宅療養者は26日時点で26万3992人。こちらも過去最多となった。政府はこの急激な感染拡大を受け、濃厚接触者の自宅待機期間を現在の10日間から、さらに7日間に短縮することを発表した。医療現場がひっ迫していることや、欧米では感染しても軽症であれば自宅待機を5日間に短縮している国が出てきていることなどに考慮した。政府は短縮について「5%程度の残存発症リスクがあるが、10日目までの健康状態の確認、または検査を組み合わせることで、従来の14日間の待機と同程度のリスクまで下げることが可能」とする。欧米と合わせ、さらに5日程度に短縮は考えられる。注視していきたい。(大越)

▼感染者の療養解除および濃厚接触者の健康観察の期間の短縮について―オミクロン株の急激な感染拡大を受けてー(厚生労働省)

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