週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

批判は冷静で客観的な意見。誹謗中傷は感情が入った主観的な意見

誹謗中傷は人権侵害であって絶対に許されない。4,630万円の誤入金問題を起こした山口県阿武町に批判の電話が殺到、職員の疲弊や心身の不調、無関係の職員の顔写真が出回るなど、深刻な事態も生じているという。いわゆる電凸やネット上の誹謗中傷は、特定の人に殺到すれば大きな精神的負担となる。自身と考えの違う人を全否定し、自分なりの「正義」を掲げるケースが目立つが、そもそも「表現の自由」は人権侵害につながる意見表明を無制限に許容していないはずだ。リテラシー教育の充実やデジタルプラットフォーマー(DPF)の取組みが今後ますます重要となるが、安易な公権力の介入は「表現の自由」を侵害する。批判か誹謗中傷かの判断基準が真に中立であることには困難が伴うが、DPFは社会と対話をしながら、自社の方針を常に改善していくことが求められる。(芳賀)

▼木村花さん母「中傷で心ボロボロ」、池袋暴走遺族・松永さん「厳罰化や迅速な情報開示を」(2022年5月1日付読売新聞オンライン)

東京都が10年ぶりに首都直下地震の想定を見直し

東京都は25日、10年ぶりに首都直下地震の被害想定を見直した。最も被害が大きいとされる品川区と大田区の境界周辺を震源とする都心南部直下地震では中央区、港区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、荒川区、足立区、江戸川区のそれぞれ一部で震度7を観測するほか、23区の約6割で震度6強以上を想定。高層ビル化が進む首都圏では最大で2万2千基のエレベータが非常停止し、多数の閉じ込めが発生する可能性が指摘されている。一方で、この10年間で建物の耐震化や木造密集地域が解消されたとして建物被害等に関しては前回想定よりも低く設定し、冬の夕方に発生した場合の死者数は6148人とした。首都直下地震の発生確率は今後30年間で約70%。今この瞬間に発生してもおかしくない数字だ。改めて、自社のBCPの被害想定を見直しておきたい。(大越)

▼首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)

「忙しくて、研修どころではない」という危機

定期的な研修がすっかりなくなった会社がある。当初は「コロナで研修ができない」とのことだったが、近頃は「忙しくて研修ができない」に変わったようだ。ようやく活気が戻ってきたのかと思いきや、次々と発生するトラブルに担当者が追われ、「研修どころではない」のが現実だそうな。研修とは、根本的な原則を現場に浸透させ、「ダメなものはダメ」であり、「どうすることが望ましいか」を伝える場だと考える。研修ができない間に、ダメなものがダメでなくなり、すべきことを蔑ろにしたのか、職場は荒れ果て、離脱者が増えてさらに労働環境が悪化。コロナダメージを回復するチャンスを活かせない。「働きやすい、より良い職場」で「健全に稼ぐ」ためには、何をしてはならず、何をすべきなのか。弱っている時ほど、原則に立ち戻った判断を促したい。(吉原)

Back to Top