週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暗号資産の犯罪インフラ化と揺らぐ理念

世界的に暗号資産への監視が強まる。経済制裁回避への悪用や巨額の盗難事件が相次ぐためだ。昨年8月には日本の交換業者が、北朝鮮の関与が疑われるハッカー組織から不正アクセスを受け計100億円超が流出、最新の国連安保理の専門家パネルの報告書も、同組織らが昨年1年間に各国の交換業者などから計約4億ドル(約512億円)分を奪ったと指摘する。北朝鮮が外貨獲得の手段とし、露オリガルヒが資金移動の手段としている以上、暗号資産の監視強化は日本にとっても焦眉の急だ。先月外為法改正で取引時確認が厳格化されたが、取引所を経由しないP2P取引が増加するなど、抜け穴も多い。「誰もが匿名で平等にアクセスできる仕組みが正義だ」という脱中央集権的な思想が暗号資産の世界にはあるが、権威主義的国家による悪用が蔓延る現状は自己否定そのものだ。(芳賀)

電力不足「注意報」新設へ=経産省

経済産業省は17日、電力がひっ迫する可能性がある場合に備え、新たに「注意報」を発する方針を固めた。今年3月、東京電力と東北電力管内で初めて「電力需給ひっ迫警報」が出されたが、発せられたのが午後8時ごろと遅かったため、企業や家庭の間で準備が十分にできなかったことが指摘されていた。現在は電力供給の予備率3%を下回る可能性がある場合に警報を発出するが、新しい注意報では5%を下回りそうな場合に出すことで、より広く注意喚起する狙いだ。警報の発表についてもこれまでは午後6時を目安としていたが、2時間前倒して午後4時にすることで準備時間を増やすという。電力事業者も前々日から節電を訴える方針だ。松野博一官房長官は注意報を「夏までに導入する」とした。企業としても、今夏の節電に備えた様々な準備が必要となるだろう。(大越)

ブラックバイトは労働条件の問題だけではない ~カスハラ放置のHRリスク~

学生のブラックバイトと聞くと、賃金の未払いや学業を圧迫するシフトの強要、不当な罰金や過剰な責任の押し付け等、労働条件の問題がまず頭をよぎる。加えて、カスタマーハラスメントに対する適切な対応を怠った職場で働く学生が受ける、心的被害にも目を向けたい。顧客による犯罪行為やカスハラが頻発する店では、悪しき状態が「いつもの状態」となり、次第に働くスタッフの感覚を麻痺させる。通り一遍の対処をし、効果がなくても別の手段を検討せず、社内外に助けも求めずに、ただ我慢を続けることで、悪しき客が常連化。働くとはこういうもの、あがいてもムダ、お客様だから仕方ないという意識がアルバイト学生たちに植え付けられてしまう。彼らが卒業・就職し、不正な指示にノーといえるか?内部通報できるか?若者の常識をゆがめてはいけない。(吉原)

適切な避難のために、防災情報の改善も要チェック

5月18日に気象庁は「今出水期から行う防災気象情報の伝え方の改善について」という報道発表を行った。発表によると6月1日から、予測が困難であった「線状降水帯」による大雨の可能性について、複数の県をまたぐ広域を対象に半日前から呼びかけるよう取り組みを改善するという。6月13日からは指定河川洪水予報の氾濫危険情報について、これまでの実況に基づく発表に加え、予測に基づいた発表も行うよう運用を改善するそうだ。2021年5月に避難情報に関するガイドラインが変更したことは記憶に新しいが、防災情報は日々検討・改善されている。これから梅雨入りし大雨や洪水に備えなければならない時期に入るが、天気情報の確認といった普段の情報収集に加え、このような大きな取り組みに関する情報を確認しておくことも適切な避難の判断や行動に役立つ。(小田)

▼今出水期から行う防災気象情報の伝え方の改善について(気象庁)

▼今出水期から行う防災気象情報の伝え方の改善について 別添資料(気象庁)

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