30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

社会全体の犯罪インフラ化を社会的包摂によって食い止めたい

元首相銃撃事件は日本の危機的状況を露わにした。とりわけ手製の銃(ゴーストガン)が実際の犯行に使用された事実は衝撃的だ。テロは本来、宗教的・思想的な背景を持つが、最近の日本ではむしろ個人的な怨恨が社会への不満へと一方的に過激化する「日本型ローンウルフ」による犯行が目立つ。人知れず過激化した思想を、日常の「身近なもの」によって凶行が後押しされている現実に目を背けてはならない。ナイフやライター、灯油のほか、銃の設計図や制作動画はインターネットで、爆薬や銃身等の原材料は薬局や量販店で、特に怪しまれることなく入手でき、銃や爆弾、覚せい剤などが製造できてしまうのはやはり異常だ。安全のためにコストやリスクを負担するのは当然のこと。社会全体が危機感を共有し、社会的包摂に取り組まない限り、次の凶行を防げない。(芳賀)

都市部の水害、アンダーパスに注意

7月12日、埼玉県内で1時間に100ミリ以上の猛烈な雨が観測され、道路が冠水するなどの被害が相次いだ。あたかも「戻り梅雨」のような様相だ。気象庁は、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨で、災害発生の危険性が高まっているとして、埼玉県内だけで9回の「記録的短時間大雨情報」を発表。注意を促した。大都市の冠水時に特に注意しなければいけないのがアンダーパスだ。2016年には愛知県で、水害時に冠水したアンダーパスにワゴンで侵入して女性が亡くなった。一般的に乗用車の床面が水につかない程度、セダンタイプであれば水深30cmほどが走行できる限度だという。水害時には通常の道でかろうじて走行できても、アンダーパスには大量の水が滞留している危険性がある。ハザードマップなどにより、平時から危険カ所を把握しておいてほしい。(大越)

見栄えの良い人事制度に惑わされないで

以前勤めていた会社の話。人事制度改革を目指し、自社に合いそうな人事制度を複数のコンサル会社にプレゼンさせ、社員代表や経営幹部が、多数決で1社の案に決めたそうな。そこから制度導入に向けて動き始めるも…その頃流行っていた人事制度を、カッコイイ言葉で自社に当てはめようにも、具体的なイメージがわかず、社員への説明を繰り返すだけでコンサル期間が満了してしまった。結局、制度の大まかな枠組みを活かし、自社の現実をその枠組みに関連付けて落とし込んでいくのが私の仕事となったのだが…そもそも自社の理想は自社でしか描けないもの。「どんな現実を、どうしていきたいか」を描くところまで、コンサルに丸投げしてはいけなかったのだろう。人事制度は自社の「今」を「未来」につなげるもの。泥臭くていい、見栄えよりも実を重視すべきだ。(吉原)

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