30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

社会的課題の解決に事業者が果たすべき役割は大きい

大麻の若者への蔓延が社会問題化する中、薬物問題として新たに認識されつつあるのが、風邪薬などの市販薬を過剰摂取する「オーバードーズ(OD)」と呼ばれる乱用行為だ。ODも若年層で深刻化、10代の乱用薬物の6割を市販薬が占め、違法薬物を上回る。また、少女や非行歴のない高校生など従来の薬物乱用者とは異なる層が依存する傾向にあるという。厚生労働省は2014年、乱用の恐れのある市販薬について、原則1人1個しか販売せず、複数個を売る場合は購入理由を確認する、中高生とみられる場合は身分証の提示を求める、といった対応を求めた。だが、覆面調査員の抜き打ち調査によれば、25%以上の店舗で対応が不十分だという。薬局はテロ対策でも重要な役割を担う。事業者は社会的課題の解決のため、現場の意識やリスクセンスの向上に本腰を入れるべきだ。(芳賀)

複合事象への危機管理対策は今後更に重要性を増す

サル痘についてWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。既に75の地域で1万6000人以上の感染が確認されているが、感染経路がほとんど解明されていない状態で急速に広まっていることを考慮した。国内では新型コロナウイルスの感染者は過去最大に上る一方、「お腹いっぱい」感も漂い、夏休みシーズンでどこの空港も利用者が相当多い。しかし、サル痘についても他人事ではないし、新型コロナウイルスも終わってはいない。過度に経済的活動を抑制することは私も反対だが、最低限の注視、対策は不可欠だ。九州地方では先日の豪雨に続いて桜島も噴火した。猛暑が続き台風の巨大化も懸念される。ウクライナ侵攻も依然続いている。銃撃事件も起きた。今こそオールハザードアプローチのリスク管理、危機管理に国民全体で取り組むことが重要だ。(西尾)

「サル痘」にWHOが緊急事態宣言

WHO(世界保健機関)は24日、欧米を中心に感染が確認されている「サル痘」について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。「緊急事態宣言」はWHOが各国に対し最高レベルの警戒を呼び掛けるもので、今回の宣言は2020年1月の新型コロナウイルス感染症に続いて7例目となる。WHOによると、天然痘に似た症状の感染症「サル痘」は、今年に入り75の国と地域で1万6000件以上の感染が確認され5人が死亡している。現時点において国内で大きく騒ぎ立てる必要はないが、厚生労働省のホームページなどでサル痘に対する現時点での評価が出ているので、企業のBCP担当者は確認しておきたい。今後の感染拡大状況によっては、日本政府がサル痘に対して「緊急事態宣言」を出すことも考えられる。まずは今のうちから、冷静に情報収集をしておくことが重要だ。(大越)

▼サル痘について(厚生労働省)

研修後の効果測定をどう考えるか

研修を実施した後、効果測定と称してテストを実施することがよくある。研修の実施と共にテスト用の作問を依頼されることも度々あるが、気になるのは、「簡単なテストを実施したい」というリクエスト。はて、なぜ「簡単な」という指定が付くのだろう?研修を実施するには理由がある。職場内で問題が起きているから、今後のリスクに備えたい、より良い状態を目指したい等。ならば、真に測定したい「効果」は行動変容ではないか?今起きている問題を解決するため、再発防止や業務改善に向けて、「何をどう変えるのか」「これから何をするか」が重要なはず。「簡単なテスト」の効果は限定的だ。「研修を実施した」という証拠を残すことが必要なときもあるだろう。ならば簡単なテストよりも、今後の行動目標を書いてもらう方が、もっと効果的だと思うのだが。(吉原)

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