30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

生き残るのは誰だ(3)~今のままでは誰も生き残れない

岡山県・兵庫県・愛知県・三重県の4つの県の公安委員会は、池田組と六代目山口組を「特定抗争指定暴力団」に12月8日に指定する。山口組分裂問題は、六代目山口組の圧倒的優位な状況にあるにもかかわらず、ここにきて池田組の覚悟が帰趨を左右する状況となった。三者連合の要である池田組は豊富な資金源を持ち、自ら手を引く可能性は低いとされる。つまり、山口組の早期の再統一は難しく、その結果、特定抗争指定の解除もまた困難となり、著しく活動を制限され続ける六代目山口組もまた変質を迫られることになる。そしてそれは暴力団のあり方をも変えていくことになるはずだ。暴力団の生き残りをかけた戦いは、今後熾烈さを増していくが、そのことによって、暴力団は今の形態のままでは生き残れない状況を自ら作り出す「自壊」を早めることになるのだ。(芳賀)

インドネシアで地震と噴火の複合災害

12月4日の日本時間で昼の11時18分ころ、インドネシアのジャワ島にある標高およそ3600メートルのスメル山で相次いで噴火が発生。同国の国家防災局庁は噴煙が山頂から1500メートルの高さまで立ちのぼり、火砕流の発生を観測したと発表した。スメル山は昨年12月にも噴火を観測しており、50人以上が亡くなった。政府は警戒レベルを最も高いレベル4に引き上げ、住民に避難するよう呼び掛けている。犠牲者の方には哀悼の意を表するとともに、一刻早い現地の復旧を願う。気になるのは、ジャワ島では11月21日にマグニチュード5.6の地震が発生しており、271人の犠牲者が確認されていることだ。地震と火山の因果関係は不明だが、日本でも300年前の1707年に発生した宝永噴火の7週間前に最大級の南海トラフ地震である宝永地震が発生している。今後も成り行きを注視したい。 (大越)

上司には気を遣えるのに、部下には配慮できないのはなぜ?

ハラスメント防止や適切な指導に関する研修の依頼が多い。部下の納得度を高め、余計な反発を招かない「効果的な指導」を推奨し、伝え方の工夫や具体的な言い回しについて話すのだが、研修後の感想として、「部下にここまで気を遣わなければいけないのか?」「忙しいのに、そこまでしていられない」という声を度々聞く。忙しいのはわかるが、業務品質を保ちながらその忙しさを軽減させるには、人を育てる以外にないだろう。指導方法の改善はもっと優先事項であってよいはずだが…「部下になど気を遣っていられない」という人ほど、自分の上司には過剰な忖度をしているケースが往々にしてある。上司のご機嫌取りにかかる労力を、部下への配慮に回せればよいのに。上位の役職者ほど、他人にお世話されなくてもご機嫌でいられる能力を鍛えるべきと思う。(吉原)

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