30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「世界一安全な日本」創造に事業者が果たすべき役割は大きい

安部元首相銃撃事件から半年が経過した。本来のテロの定義とは異なるが「動機は政治的な目的ではなかったかもしれないが、暴力によって社会を変えようとしたという意味では民主主義に対する現代的なテロの概念に当てはまる」(日本大学危機管理学部・福田充教授)との指摘の通りだろう。日本でもローンウルフ/ローンオフェンダー/ホームグロウン型のテロが発生しうること、孤立・孤独の問題、インターネット・SNSの犯罪インフラ性と監視の必要性、銃器や爆弾の原材料が容易に入手でき製造できる環境、手製銃(ゴーストガン)を持って公共交通機関を移動可能な状況、警察の警備態勢・スキルの脆弱性、旧統一教会の反社会性と質問権行使、旧統一教会と政治との密接な関係など社会的な課題が数多く露呈した。治安上の脅威に対し事業者ができることも多い。(芳賀)

▼首相官邸 犯罪対策閣僚会議 「世界一安全な日本」創造戦略2022

富士山噴火に備えたBCP訓練を

株式会社ジンズホールディングスは、BCPの取り組みの一環として昨年末、富士山噴火を想定したBCP対応訓練を実施した。同社のリリースによると、国内でも前例の少ない訓練だという。訓練では、平日日中に富士山噴火が警戒レベル4になったと想定し、東京本社が使用不能になったと設定。前橋市にある代替拠点に緊急対策本部長である同社の田中CEOら20人が移動し、対策本部の立ち上げや初動対応を確認した。富士山噴火の警戒レベル4とは、「小規模噴火の発生、地震多発、~中略~大規模噴火が切迫している状態」を指す。以前から筆者がBCPコラムで解説している通り、歴史的に見て富士山噴火には、数日前から地震や小規模噴火などの予兆を観測できることが知られている。予兆を観測したら企業はどのように対応すべきか。タイムラインを作り、検討しておきたい。(大越)

▼富士山噴火を想定したBCP対応訓練を実施 (株式会社ジンズホールディングス)

▼富士山の噴火想定レベル

セクハラ、性犯罪等の根源にあるもの

福岡のストーカー殺人事件に憤りを感じる。性的なことの絡む相談を度々受けるが、多くのケースで感じる共通点は、加害者が被害者の気持ちを考えられていない、または完全に取り違えていることだ。人を好きになることは自由であり、性的欲求を抱くことも自然の摂理であろう。しかし相手の人権を侵害し、日常生活を脅かすならば、犯罪として立件できるかは別としても、「悪しきこと」であるのは間違いない。考えるだけなら自由でも、他人に悪影響を及ぼすなら、許されないはずだ。加害者も人なら、被害者も人だ。感情や意志を持ち、誰かの欲求を満たす道具ではなく、自分で自分の人生を歩む権利を有している。なぜそれがわからないのか?そしてなぜ周囲が止められないのか?その程度のこと、他人事と受け流さずに、「それはダメだ」と言えないものか…。(吉原)

Back to Top