30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

統計上の数字を見誤るな~警察庁「令和4年における組織犯罪の情勢」から

暴力団構成員及び準構成員等の数は、2022年末現在、前年の24100人から1700人減の22400人となった。うち、暴力団構成員の数は11400人、準構成員等の数は11000人。数の上では暴力団の脅威は年々減少していように見えるが、統計上の数字が実態を正しく表しているとは限らない。暴力団等と密接な関係を有する半グレ集団(準構成員)については、その数はいまだ統計上明らかにされず「資金獲得活動を活発化させている実態がみられる」との指摘のみだ。また、最近ではあえて暴力団員として登録しない者や警察が把握できていない構成員等も増えており、統計上の数字の数倍に上るとの見方もある。一方、警察や暴追センターの援助で離脱した暴力団員は約360人、就労者は26人、離脱した者の預貯金口座の開設は7件。数字が示しているのはむしろ「治安上の脅威の増加」という現実だ。(芳賀)

▼警察庁 令和4年における組織犯罪の情勢

新入社員に災害対応の伝承を

日本は、地形などの様々な自然条件からこれまで数多くの自然災害に見舞われてきたが、被害を受けるたびに先人たちはその教訓を石碑などにして残してきた。「此処より下に家を建てるな」と刻んだ岩手県宮古市の大津浪記念碑などが有名だ。一方で、近年の豪雨で多くの犠牲者を出した広島県のとある地区では100年以上前に起きた水害を伝える石碑があったものの、その伝承が地域住民に伝わっていなかった。これらの教訓から、政府では2020年から災害伝承碑に関する情報を収集して「重ねるハザードマップ」で公開を開始。その数は現在全国542市区町村1874基にのぼる。新年度も始まり、新入社員の研修も始まる時期だ。ぜひ企業として、これまで経験してきた災害や感染症対応の伝承も行ってほしい。学校では習わないリアルな経験が、新入社員の大きな糧となるだろう。(大越)

▼重ねるハザードマップ(※自然災害伝承碑を表示)

「新入社員研修では、どんなことを学んだの?」と聞いてみよう!

新入社員がやってくる季節だ。入社式や新入社員研修等を経て、現場に新人さんがやってきたら、ぜひ「研修ではどんなことを学んだの?」と聞いてみてほしい。それは「真面目に話を聴いていたか」を意地悪くチェックするためではない。現場の先輩である自分たちに何が求められているかを再確認しつつ、新入社員が研修で学んだことを「実践」に落とし込むためだ。例えば「挨拶が大切だ」と研修で学んだというならば、「そうだね。だから皆、ああやって挨拶を交わしているんだよ」と、実践している様子を認知につなげてほしいのだ。「わかる」と「できる」は異なる。実践の例を認識できれば、「できる」につながりやすい。学びを行動につなげることが肝心だ。間違っても、「研修ではそう言うけれど、実際はこの程度だよ」と、悪い例を認識させてはならない。(吉原)

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