30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「相手」を正しく認識することが対策の第一歩だ

特殊詐欺グループは、「失敗」や「成功」を踏まえて絶えず修正を加え極めて狡猾・巧妙にマニュアルの精度を高め、驚かせる、不安にさせるなど判断を誤らせるための心理的な仕掛けを講じている。「かけ子」らも毎日のように長時間繰り返す電話で多くの「失敗」や「成功」を重ねながら悪事の「練度」を上げている。一方、被害者は、「本当の特殊詐欺の電話に対峙するのは初めて」という方がほとんどだ。「練度」に圧倒的な差があるうえ、高齢者の認知機能の衰えが、「だまされないようにする力」の衰えにつながっている可能性も指摘される。つまり、たとえ「知識」や「自信」があっても、十分に「注意」を払っていても、「電話に出て」しまえば、必然的に、だまされることになるのだ。見破れるなど思わない方がよい。「電話に出ない」ことを徹底したい。(芳賀)

▼警察庁 特殊詐欺の手口と対策

災害時には公共団体と民間事業者との連携が不可欠

内閣府は今年3月、「防災分野における個人情報の取扱いに関する指針」(案)を公表した。今回の指針の作成により、公共団体が民間事業者に個人情報を提供するときの一定の判断基準ができたことは評価できる。原則としてはまず民間事業者に個人情報を提供することをあらかじめ利用目的に含めることによって作業を円滑に進めることが望ましいとしつつ、利用目的に含んでいない場合においては、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合にあって、本人の同意をとることが困難な場合」、「人の生命、身体又は財産の保護のため個人情報の利用・提供が明らかに本人の利益になる場合」などが判断基準となる。いずれにせよ、災害時に被災者の命を救うためには、平時から演習・訓練を通じた公共団体と民間事業者の密接な連携が不可欠となるだろう。(大越)

▼「防災分野における個人情報の取扱いに関する指針」(案)説明資料 令和5年3月9日 内閣府防災

被害に遭うのは被害者のせいか?

先週のコラムで書いた自転車事故について、周囲から様々な反応が。「自転車で損害賠償約1憶円の事例ありましたね」「ヘルメットを買おうと思いました」危機管理コラムとしての意義を実感。リスク喚起できてよかった。「大したことなくてよかったね」確かに。でも、まだ地味に痛いんだけどな…。「あぁ、すっ転んだんだってね」違うよ、転んだのは私の方じゃないだ!「お疲れだったから…」ん?心配そうな顔をしてくれているけれど、なんだか違和感。私は普通に歩道を歩いていただけ。突然巻き込まれた事故に「私の疲れ」が関係あるのか?通り魔事件や己の欲望のみに従った悪質なセクハラ等、被害者に全く責任がない事件やハラスメントでも、なぜか「被害に遭うのは自分のせいだ」と思い込まされるケースは存在する。その一端を垣間見たような気がする。(吉原)

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