30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

肝心なものは目に見えない(2)~「今どきの暴力団」のリアル

「令和4年における組織犯罪の情勢」(警察庁)を見れば暴力団構成員等の減少が顕著であることは分かるが、それが真実を示すとは限らない。見えないところにこそリアル(現実)があるという点では、ラーメン店の店長をしていた暴力団組長が何者かに射殺された事件もそうだ。統計上は暴力団構成員のうちの1名に過ぎない存在だが、事件の背後関係をよく見ると、今や構造不況業種となった暴力団が人として生きていくため、組織を維持していくにあたり必要な資金(上納金)を稼ぐために正業が必要とされていたというリアル、「ひとり親方」という暴力団組織の弱体化・少子高齢化の現状を示すリアル、神戸市内にただ1つの弘道会直参という立場にある組織の事情が招くリアルなど、「1名」という数字だけではない「今どきの暴力団」の姿が鮮やかに立ち上る。(芳賀)

各地で地震が頻発。まずは「今できる」ことを

先週11日午前4時ころ、千葉県木更津市で震度5強を観測する地震が発生した。5日には石川県で震度6強の地震、13日には鹿児島県鹿児島十島村で震度5強の地震が発生するなど、大きめの地震が日本列島で頻発している。事態をあおるものではないが、企業はぜひこの機会に自社のBCPや備蓄をチェックするなど点検作業を行っていただきたい。まずは簡単なところからでよい。4月の人事異動で対策本部メンバーが変わっていないか。営業所などで移転したところがあればハザードや避難経路を確認しているか。新入社員に安否確認システムがきちんと登録されているか。備蓄の期限は切れていないか。コロナ禍で新しく社内でチャットツールなどを配備しているのであれば、あらかじめ対策本部のグループを用意しておくのも良い。「今できる」ことを着実に進めて欲しい。(大越)

人材を価値ある資本として育てるには、インプットの時間と機会が重要だ

前職の社長は「仕事がつまらないなら、何か勉強して、〇〇の件はこの人に聞けと言われるまでになりなさい。頼りにされ、感謝されれば楽しくなり、もっと学びたくなる」とよく言っていた。何かを極めれば、その知識を活かせる仕事は自然と集まる。仕事を通してさらなる課題を得て、もっと学びたくなる気持ちはわかる。新たな学び(インプット)はさほど苦でなく、より良い仕事につながり、仕事も私生活も充実するだろう。だがインプットの時間や機会がないまま、延々アウトプットばかり求められるのは辛い。課題は次々難易度を増し、今ある知識だけでは、もがいてもうまくいかず、多くの時間が費やされ、私生活が侵食されて心身が蝕まれていくのだ。人を資本と見るのなら、自発的なインプットにつながるような、アウトプットの質的・量的な加減が重要だ。(吉原)

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