30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「匿名・流動型犯罪グループ」の捉え方~見極めは企業の責務だ

「匿名・流動型犯罪グループ」については、明確な定義がなく見極めが難しいが、半グレ・準暴力団に加え、猛威を奮っている特殊詐欺や闇バイト、最近その害悪がクローズアップされている組織的なスカウトグループや悪質ホストクラブ、ぼったくり等のベストグループ、ルフィグループとの関係が濃厚なJPドラゴン(フィリピン)なども含まれると考えてよい。とりわけ「ナチュラル」に代表されるスカウトグループや悪質ホストクラブの背後に反社会的勢力がおり、相互依存関係が認められるうえ、悪質ホストクラブに至っては「ホストは仕方なく風俗で働いてもらうのではない。初めから『落とす』ことが狙いなんだ」との指摘のとおり「看過できないレベル」の悪質さだ。企業は社会の公器として「匿名・流動型犯罪グループ」を見極める目利き力を磨く必要がある。(芳賀)

法改正に合わせカスハラ対応の見直しに着手しよう

厚生労働省は11月15日、改正旅館業法の省令の交付に合わせて特設ホームページを公開。今回の改正では、客のカスハラ等を「特定要求行為」と定義し、客が同行為を行ったとき中止や宿泊拒否を伝えることを可能とした。宿泊しようとする客が従業員に対し無制限に対応を強いるなどのカスハラ行為を行った場合、ホテル側が本来のサービスを提供できず、業務に支障を来すなら、宿泊を拒むこともできる。ホテル側にとってはありがたい改正だろう。ところで、従業員がカスハラに遭遇したとき、正しくカスハラだと判断して対応できるだろうか。本当は正当なクレームなのにカスハラと思い込んで客を突き放し、苦情を長引かせたり評判の低下を招いたりすることはないだろうか。従業員とブランドの双方を守る観点で、ぜひカスハラ対応方針などの見直しに着手してほしい。(宮本)

▼令和5年12月13日から旅館業法が変わります!(厚生労働省)

▼「旅館業の施設において特定感染症の感染防止に必要な協力の求めを行う場合の留意事項並びに宿泊拒否制限及び差別防止に関する指針」を公表します(厚生労働省)

▼カスタマーハラスメントへの対応(旅館業法説明ページ内)(厚生労働省)

中国で急増する肺炎。まずは冷静に情報収集を

中国の現地メディアによると、中国では子どもの発熱や呼吸器疾患が急増。北京の病院では1日の患者数が7000人を、天津市の病院では1万3000人を超えたという。国立感染症研究所によると、中国では今年5月以降マイコプラズマ肺炎の患者が増加しはじめ、8月から9月にかけて患者数が急増し、特に6歳以下の小児で多く発生しているという。WHOは11月25日、中国における子供の肺炎の増加について「既知の病原体によるもの」であるとし、パニックに陥らないよう冷静な対応を呼び掛けている。一方で国立感染症研究所では「今後冬季に入ることで呼吸器疾患が増加し、今後の医療施設の負荷が増大することが懸念される」と述べ、警戒を強めている。BCP担当者としてはまず冷静に国内外の情報を収集し、これまでの感染症対策を改めて確認して社内に励行していただきたい。(大越)

▼中国で小児を中心に増加が報じられている呼吸器感染症について 2023年11月24日時点(国立感染症研究所)

▼中国で子供の肺炎増加、WHOは「既知の病原体によるもの」として冷静な対応呼びかけ (ロイター)

12月はハラスメント撲滅月間。この機会にコミュニケーションの振り返りを

12月はハラスメント撲滅月間である。当社へのパワハラのご相談として増えているメールの特徴をご紹介したい。1件1件の内容を単独で見れば、確かに正論なのだが、やり取りの終わりが見えないメールの応酬が何度もあり、それが毎日続くというものが多い。そして、それらにはいくつかの共通点がある。指摘、要求、質問、ネガティブな感想に終始し、労い、感謝、受容、協力や支援の申出、フォローなどがない。このようなメールの応酬が長期間続けば、相手は疲弊し、精神的に追い詰められることは想像に難くないと感じる。ご自身のメールコミュニケーションはいかがだろうか?自分が部下や同僚の立場だとして、「このメールが上司や同僚から送られたら自分はどう感じるだろうか?」という視点でご自身のメールをこの機会に一度見直していただければと思う。(加倉井)

▼12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です(厚生労働省)

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