30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

絶対に安全な対策はない~利便性を享受するならリスクを認識せよ

サイバー攻撃を巡る攻防が激化、有効なはずの対策が無効化される事例が相次ぐ。例えば、スマホの指紋認証における指紋が復元可能であることが判明、生体認証が突破されれば機密情報や個人情報漏えいに直結する。また、世界最大級の宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム」が悪用されて予約客のクレジットカード情報が盗まれる「ウェブスキミング」被害も深刻だ。露の掲示板に多くの犯罪グループが集い、役割分担をしながら攻撃が続くが、消費者側が事前に気づくことはほぼ不可能だ。さらに、IDやパスワード入力のほかに、本人しか知りえない、または本人自身の特性や本人しか所有していない他の要素の認証を追加することで認証プロセスをより強固にしたはずの「2要素認証」も突破されている。利便性の裏にある悪意も常に進化している現実を直視せよ。(芳賀)

年末年始直前。緊急対応体制を見直そう

そろそろクリスマスケーキや年賀状、おせちの予約など年末年始の準備をととのえた人も多いだろう。ぜひ会社での危機対応の準備も忘れないでいてほしい。地震、風水害などの自然災害に年末年始休暇はない。また手薄な企業防衛体制を狙った窃盗、強盗、そしてサイバー攻撃にも注意が必要だ。犯罪者たちは虎視眈々と会社のウィークポイントを狙っている。さて、対策例は、緊急対応チームの設置シミュレーション。対応メンバーの招集指示の想定。そして被害拡大が懸念される取引先や、対応支援を依頼できるサポート会社との連携体制の確認だ。「ホームページに公表文を出したいが、専門会社にページの更新を委託しており、そちらも休暇なのでページの更新ができない…」こんな事態で初動を誤らないよう、準備をお願いしたい。(宮本)

子供だけの留守番は米国では虐待の可能性

少し前の話になるが、埼玉県で子どもだけの外出や留守番を放置による虐待とする改正法案の内容が批判を浴び、県議会の本会議で正式に撤回された。日本人からすると奇異に感じる内容でメディアや住民も大反対をしていたが、実はアメリカでは子どもだけの留守番はすでに虐待ととられ、警察に通報される可能性が高い。外務省ホームページでも、「(米国では)一般に、自救能力が備わってくる小学校高学年になるまでは、親が子どもに付き添うか、ホームシッターなど適当な保護者を付ける必要があります。法に反する場合はもちろん、留守中に子どもに何らかの被害が発生した場合は、親は児童虐待として逮捕される可能性があります」と明記している。短時間の買い物等であっても子どもだけを車中に残すこともNGだ。海外赴任者は、必ずチェックしておきたい。(大越)

▼アメリカ合衆国安全基礎データ(外務省)

サービス向上や働き方改革につながる小さな工夫

セルフ式の飲食店では、カウンターで時間のかかるメニューを注文すると、「出来ましたらお持ちしますので、番号が見えるようにテーブルに立ててお待ちください」と立札を渡されることがよくある。だが広い店内では店員さんが番号を探すのに時間がかかり、料理が冷めてしまうこともあり、クレームのきっかけになりかねない。あるファストフード店では、会計後、注文番号と記入枠のある小さな紙を渡され、「ここに席番号を書いて、このカゴに入れてください」とレジ横の小さなかごを示された。料理を運ぶ人は、カゴに戻された紙を見て、まっすぐ目的の席へ向かう。紙と鉛筆、小さなカゴ、席番号を示す札程度の初期投資で、料理は冷めず、店員さんの手間もぐっと減る。小さな工夫が、サービス向上やクレーム削減、社員の働き方改革につながっていたようだ。(吉原)

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