30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

そなえよつねに(Be Prepared)

令和6年能登半島地震の全ての被災者に心よりお見舞いを申し上げる。今年の干支は「変革や激動など事態が動く年」とされる甲辰だ。正に厳しいスタートとなったが、常にしっかりとした備えをしておく重要性を痛感させられる。とりわけ、能登半島地震におけるNHKアナウンサーと羽田空港の衝突事故におけるJALの客室乗務員の仕事ぶりは称賛されるべきだ。ともに過去の反省をふまえた改善と華やかな舞台の裏で厳しい訓練を重ねてきた点で共通するが、咄嗟の場面での冷静沈着かつ適切な対応を可能にしたのは、こうした積み重ねだ。有事に備えて平時から準備することの大切さ、訓練を継続することの重要性をあらためて認識したい。さて、甲辰は「努力してきたことが飛躍する」年でもある。リスク対策に近道はない。地道な取組みの積み重ねが持続可能性を高める。(芳賀)

地震や事故は他人事にあらず

正月に発生した能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故、また、日々発生する事件や事故・火災。これらの事象は決して人ごとではない。危機管理では、リスクセンスの向上が重要だ。そのベースは、実際に何が起きたか、そして、その自体に直面した関係者の対応や苦労に目を向けることだ。現実を踏まえ、自分たちの現状を見つめ、対策を行うことでリスク管理は強化される。明日は我が身という気持ちで、日々発生する事象から何を学び、いかに自分ごとにしていくかが、危機管理力向上の秘訣だ。なお、被害を生まないためのリスク管理、予防対策の強化が重要であることは間違いがないが、万に一つの事態が起きたときの対応についても、対策、訓練も疎かにしてはいけない。特に、初動対応は生死を分ける。改めて、自身の対応力を検証、強化していきたい。(西尾)

新年の事業開始あたりリスク発生有無を点検すべし

2024年は能登半島地震、日本航空機事故、北九州市での商店街火災、JR山手線での無差別障害事件など事件事故のニュースで始まった。皆さんの会社ではこれらの事件によっていずれかの影響が出ているであろう。被害に遭われた方にお見舞いを申し上げるとともに、支援にあたっておられる方に慰労を申し上げたい。さて、皆さんの会社で年末年始に何か事案が起きていなかったか、ぜひ点検を進めてほしい。参考までに申し上げると筆者には連休中に不審メールが届いた。「あなたの個人情報やネットの閲覧履歴などを不正取得した。公開されたくなければ、$1620相当のビットコインをBTC仮想通貨ウォレットで送金しろ」というもの。「支払ってしまった…」といった従業員がいれば、会社として次の対応が必要だ。講じた安全対策が機能していたかの点検をお願いしたい。(宮本)

能登半島地震、あらゆる角度からの検証が必要だ

「犠牲者の数だけでは、災害被害の大きさは計れない」と、尊敬する教授にたしなめられたことがある。が、それでもやはり数字に目がいってしまう。報道によると、今年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の犠牲者は8日18時時点で168人。安否の分からない方は石川県内で323人に増え、いまだに被害の全貌は見えない状況が続く。亡くなられた方には心から哀悼の意を表するとともに、現地の一刻も早い復旧を願う。16年に発生した熊本地震では直接死がおよそ50人であったことを考えると、津波や火災などの複合災害がどれだけ被害を拡大させたか、心が痛む。防災関係者の間では、能登半島は07年に発生した能登半島地震以降、住民が力を合わせて防災力を高めてきたことは周知の事実だった。復旧に尽力するとともに、あらゆる角度からの災害対応検証が必要だ。(大越)

「おめでとう」と言えることのありがたさ

年末年始の慌ただしさが苦手だ。特別なことはしなくても、食材が高騰し、店も開かず、「いつものご飯」を保つことこそ難しくなる。新年といっても昨日が今日になるだけのこと。何がめでたいのだろうと長年思っていたのだが…「何事もなく日付が変わっただけ」と思っていた矢先に発生した大地震。お正月番組は一気に現地の惨状を伝える映像に変わり、次々起きるショッキングな出来事に、心穏やかでいられない年明けとなった。「何事もなく年が明けること」はなんと「おめでたい」ことだっただろう。被災していない自分まで共感疲労に飲み込まれそうになるが、ここは冷静に。今できることを着実に行おうと、初詣で穏やかな日常を願い、賽銭箱と募金箱に無理のない金額を納めてきた。気が早いが、来年のお正月こそ、笑顔で「おめでとう」と言いたいと願う。(吉原)

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