30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「匿名・流動型犯罪グル―プ」の捉え方(2)~反社チェックの実務の観点から

2023年は暴力団対策において1つの転機となった年だった。ルフィグループがその典型だが、一連の捜査を通じて、SNSで実行役を集め、事件ごとにメンバーを入れ替え、アメーバのように形を変えて犯行を繰り返していた姿が明らかとなった。正に「構成員がはっきりしている暴力団を中心に据えてきたこれまでの組織犯罪対策のあり方を転換させるほどのインパクトがある」(警察庁長官)ものだ。それは、これまでの反社会的勢力の概念・捉え方をさらに拡大することを迫るものであり、「匿名・流動型犯罪グループ」と警察が呼ぶ新たな犯罪集団がカテゴライズされたのも当然の帰結だ。だが、「(暴力団等と何らかの関係が疑われ)関係を持つべきでない相手」として、その存在を特定、捕捉し、排除する実務はそう簡単ではなく、KYC/KYCCを一層深化させていく必要がある。(芳賀)

何度でも言う。簡易トイレを備蓄して欲しい

発生から2週間が経過した令和6年能登半島地震。未だ現地では断水や停電が続き、復旧のめどは立っていない。消防庁によると、人的被害は犠牲者221人のほか重傷者231人、軽傷者745人。住家被害は全壊432棟、半壊568棟、一部損壊が6635棟。合計で7600棟以上が被害に遭っている。犠牲となった方々のご冥福をお祈りするとともに、現地の早期復旧を心からお祈り申し上げる。今回の地震では、発災当日からトイレの問題がクローズアップされた。本稿でも何度も指摘しているように、災害発生時には食事と同じくらいトイレ問題が重要になる。衛生的でないトイレは被災者に水や食事を我慢させることになり、健康に深刻な影響を与える。避難所で感染症がまん延する原因にもなる。何度でも言う。災害が発生した時のために、企業にも家庭にも必ず簡易トイレを備蓄して欲しい。(大越)

▼災害用トイレガイド(日本トイレ研究所)

▼「トイレが本当にもう…」声落とす女性「トイレの臭いが嫌で、飲まず食わずの被災者が現れる」震災関連死リスク心配、あふれるトイレ問題【石川県能登半島地震:取材リポート】(MBSニュース)

「配る自由」のない職場チョコ

お正月が過ぎ、店頭にはもうチョコレートのコーナーが設置され始めている。昔はよく大量の手作りチョコや大袋のお気に入りチョコを用意し、小分けのラッピングに凝って、予算を押さえつつ日頃の感謝を込めてチョコレートを配ることを楽しんでいたのだが…すっかりやらなくなっている。在宅勤務が増え、渡すタイミングが難しいということもあるが、それ以上にブレーキと感じるのは周囲の目だ。「誰か一人でも配り始めれば、皆、配らないわけにいかなくなる」と言われてしまうと、おいそれと配れない。人の考えは多様であり、多様性を受け入れよと言われて久しい。バレンタインにチョコレートを配るのも、配らないのも自由だろうと思うが、かつての主流が傍流になると、その自由が失われてしまう。おかしい。やはり多様性の受け入れは難しいということか。(吉原)

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