30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

Xが犯罪インフラ化することはあってはならない

X(旧ツイッター)は、2024年内に個人間で送金するサービスを始めると発表した。報道によれば、すでに10以上の州で送金に関する免許を取得しており、将来はXを使って送金されたお金を銀行口座から引き出したり、金融サービスを提供したりすることも視野に入れているという。一方、メタ(旧フェイスブック)が2019年6月に発表した暗号資産リブラ構想は、通貨秩序への挑戦ととらえた各国政府・中央銀行が包囲網を形成、現在の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の議論や導入につながる動きにつながったことは記憶に新しい。Xの構想もリブラ構想と本質的に同じと思われるが、偽情報や誹謗中傷対策の脆弱さなどすでに犯罪インフラ化が進むXにおいて、CBDC同様の高度なセキュリティ、AML/CFTやプライバシー保護等のリスク対策を十分に講じられるのか、懸念されるところだ。(芳賀)

ヒアリングやアンケート 義務化時代が来る?

品質不正等の不祥事の原因には「内部通報窓口の機能不全」がよく出てくる。もし窓口が機能しガバナンスが働いていれば不正等を予防できたというもの。再発防止策を考えれば窓口の機能拡充は不可欠だろう。ただ通報は、従業員側の「通報しよう」と決断するアクションがはじまりであり、企業側からみれば"待ち"の制度である。従業員が不正の通報をためらえば通報は上がらない。すなわちガバナンスを実現するなら、待つに加えて"見つけに行く"ことが不可欠だろう。方法はヒアリングやアンケートが有効とされる。これだけ不祥事が頻発する時代だと、近い将来は、待ちに加えて見つけにいくための制度の整備が義務化される気がしてならない。公益通報者保護法が時代を経て改正され、一定規模の事業者に内部通報制度の整備が義務化されたように。(宮本)

94.4%の企業が「企業防災の大切さを実感」

帝国データバンクは1月19日、能登半島地震の企業に対しての影響と防災に関するアンケート調査結果を公表した。調査によると、今回の地震で影響の大きい「能登地方」に本社を置く企業は4075社。復旧が長期化すれば全国の企業に影響が広がる可能性があるという。1月中旬に全国1255社を対象にアンケートを実施したところ、能登半島地震により自社の企業活動への影響について「影響がある」としたのは全国で13.3%、北陸では43.2%。また、企業の94.4%が「今回の地震を機に企業防災の大切さを実感した」とし、なかでも4割の会社が「飲食料備蓄」「連絡網の整備」を改めて重要だと考えた一方で、「BCP策定・見直し」は20%、「防災・避難訓練」の実施は9.6%にとどまった。災害時に従業員の命と事業を守るために何をしたらよいか。企業は真剣に考えなければいけない。(大越)

心理的安全性を低下させるのは、管理職ばかりではない

最近、研修で心理的安全性を取り上げることが増えてきた。ダメなときはダメと、言うべきことを言えることも、突飛なアイディアでも安心して出せることも、なるほどチームの活性化やパフォーマンス向上につながりそうだ。意識改革は管理職から!と張り切って研修に盛り込むが、いざ、もっと対話をしようと1on1を制度化しても、率直に話し合おうとディスカッションの場を設定しても、「そんなことをされても、話せるわけがない!」と、皆の前で声高に発言する従業員がいれば、やはり皆押し黙ってしまうものだ。はて、どうしよう?「そういうことを言うな!」と管理職が怒鳴れば、心理的安全性は下がるばかり。「否定的な発言も堂々とできていていいね!同じ考えの人も、そうでない人もいるだろうから、そんな思いも聴かせてね!」と返すのはどうだろう?(吉原)

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