2025年07月22日号
金融犯罪対策は「競争領域」ではなく「協調領域」だ
金融庁と日本証券業協会は、証券口座乗っ取り事件を受けて、金融犯罪対策強化に向けた指針案を公表した。指針案では、「多要素認証」を必須化するよう求める内容が盛り込まれ、指紋や顔などの生体認証を使う「パスキー」やPKI(公開鍵暗号基盤)との併用まで踏み込んだ。だが、中小証券会社やネット系証券会社には多額の投資が必要となり、採算が悪化して事業の見直しに直結する懸念もあるという。犯罪組織との戦いは、今後もいたちごっこが続く。証券会社も投資家も、強い危機感とスピード感をもって最新の金融犯罪対策を講じていく必要があり、持続可能なビジネスの確立が急務だ。金融庁は「金融犯罪対策は「競争領域」ではなく「協調領域」であり、金融機関間・官民の連携が重要」とも指摘する。業界レベルでの連携・共有等の深化もまた必須となろう。(芳賀)
▼金融庁 「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について
▼金融庁 「マネー・ローンダリング等及び金融犯罪対策の取組と課題(2025年6月)」の公表について
欧米で山火事が多数発生。国内も注意を
7月4日、米国のグランドキャニオンで落雷による火災が発生。9日にも別の場所で火災が発生し、一連の火災の影響で15日までに東京ドーム5200個分以上に相当する面積に火災が燃え広がった。今年1月に大規模な山火事が発生し、少なくとも28人が犠牲となったカリフォルニアでも6月29日に再度山火事が発生している。40度を超える熱波が続くヨーロッパでは、トルコのコイズミル県、フランスのコルビエール一帯で山火事が発生。300人が負傷した。室崎益輝神戸大学名誉教授によると、「欧米では高温の夏に山火事が多発し、日本では強風の春に山火事が多発する。とはいえ今年の日本の熱波は異常。欧米の山火事は対岸の火ではない」とする。これから本格的な夏シーズンを迎える。台風や局所的豪雨による風水害だけでなく、熱中症や山火事へも注意を広げる必要がある。(大越)
家事を「手伝う」配偶者は感謝されない。では、仕事は?
かつての同僚のボヤキ。「会社帰りに買物を頼まれたので、スーパーに寄って帰宅。買った品を冷蔵庫に入れ、TVを見ながら妻の帰りを待っていたところ、妻に『なんで料理していないの!』と激怒された。買物を『手伝った』のではダメで、主体的に料理までしなければいけなかったらしい」と。笑いながら聞いていたが、奥様には「何を出されてもおいしく食べる」という覚悟か信頼が必要と思う。どちらかが「手伝う」の意識なら、主と従の関係になる。主が主体的に動かない従に腹を立てても、従は主のダメ出しを恐れて顔色を窺うばかりにならないか?両者が主体性を発揮するには、両者が同列で、互いに相手を信頼し、任せ合えないと難しいだろう。仕事も同じかもしれない。今必要なのは強力なリーダーシップとそれに従う人材か?主体的に任せ合える人材か?(吉原)
10年前に想像していた「10年後の自分」は想像どおりだった?~自己評価よりも他己評価の方が正しいかもしれない~
ある筋から原稿の執筆依頼があり、10年以上前のことを振り返る機会があったのだが、当時の自分が全く想像していなかった人生を歩んでいることに気付いた。当時は「このまま転職をせずに定年を迎えるのかな」と思っていたが、全く別の業界に転職している。また、「自分は何の取り柄がない」と常々思っているのだが、何となく親しい人に意見を聞いてみると「人を嫌いにならないこと」「クヨクヨしないこと」が私の取り柄だそうだ。なんと自分の見立てが当てにならないことか。中華の巨匠・脇屋シェフは、父親の思いつきで決まった中華料理店への就職から中国料理界の巨匠となり、「夢がなくても心配することはない。何かにがむしゃらに打ち込む間に、見えてくる夢というものは確かにある」とのことだ。自己評価よりも他己評価の方が正しいかもしれない。(安藤(未))