2025年08月04日号
SNSの「犯罪インフラ」性を無効化せよ~トクリュウ対策、金融犯罪対策の強化に向けて
「令和7年版警察白書」でSNSの犯罪インフラ性が特集されている。SNSは投資・ロマンス詐欺や闇バイト、オンラインカジノ、違法薬物、暗号資産、児童の性的搾取、誹謗中傷、誤・偽情報、世論工作、サイバー攻撃、マネロンなどに直接・間接に悪用されている実態があり、トクリュウ等の活動を助長する中核的なツールとして、多くの犯罪の温床となっている。つまり、SNS対策は「トクリュウ対策」、「金融犯罪対策」、「治安対策」の要だと言える。さらに、SNSの特性から、オンライン空間もその領域に含み、越境犯罪を可能にする「超国家性/無国籍性」を有し、国際的な課題でもある。だがSNSのもつ利便性をある程度制限することで対策の深化、無効化は実現可能なはずだ。私たちにはまだまだやれること/やるべきことはたくさんある。一人ひとりの意識が肝となる。(芳賀)
石破首相が辞めても辞めなくても・・・
日米関税交渉の中核課題であった日本の自動車関税率は、25%から15%に引き下げられ、交渉は成功したとの論調が目立つ。しかし、実態はその減税の代償に5500億ドル(約80兆円)もの巨額の対米投資が課されている。しかも投資額の90%は米国に還元され、日本には残り10%の利益しかもたらさないものだ。そもそも以前の自動車関税はたった2.5%だったので、25%を15%に引き下げたのではなく、2.5%から15%に引き上げただけだ。対米投資の内容も極めて不透明で、経済的従属を強めるだけだ。その他にも、ボーイング社製の航空機を100機購入することが、実需に反して義務化されてもおり、その上旧式の防衛装備品等の購入も含まれている。「米国に舐められてたまるか」との石破首相の発言と全く正反対の結果である。そもそも合意文書が存在していないなどあり得ない。(石原)
観測史上最も暑い7月
2025年7月30日は日本気象学上歴史的な日となった。兵庫県丹波市柏原町で最高気温41.2℃を記録。これまで埼玉県熊谷市と静岡県浜松市が保持していた41.1℃を超えた。7月の日本の月平均気温は平年との差が+2.89℃と、こちらも統計開始以来最高を記録し「歴史上もっとも暑い7月」となった。気象庁は8月上旬も40℃以上が続出すると予想。今週も酷暑に気をつけたい。原因の1つは先日発生した台風8号といわれる。台風8号は現在熱帯低気圧となり九州の西にあり、明日5日北日本を通過する見込みだ。北日本では警報級の大雨の恐れがある一方で、熱帯の空気やフェーン現象の影響で関東でも40℃以上が続出する可能性があるという。週の後半は気温が和らぐというが、水分や塩分をこまめに取り、室内環境や睡眠環境を整えるなど熱中症対策を欠かさないようにしたい。(大越)
「言葉の意味がわかる」と「理解できる」の違い
研修内容を決めるにあたり、海外の関係者からの要望が加わることがある。ありがたいことに日本語訳を付けていただくが、言葉の意味がわかっても、何を伝えたらよいかで悩んでしまう。国が違えば、法律も組織風土も違う。ただ翻訳した言葉を伝えても、なんとなくわかったような気にはなれるかもしれないが、それでは行動を変えられないだろう。先方が言わんとしていることを、日本の状況に置き換えて解釈し、日本向けにどう伝えていくかが肝心なのだが…言葉よりも組織風土の壁を感じ、改めて、コミュニケーションの難しさに頭を抱えてしまうのだ。「アルジャーノンに花束を」は、米国の作家ダニエル・キイス氏の作品だが、小尾芙佐氏による日本語版を読んだとき、はじめて翻訳者の力に衝撃を受けたことを思い出してしまった。あれほどの表現力があれば!(吉原)
学歴詐称はご法度だが、大学を卒業していなくても行政機関の長にはなれるはず~学歴偏重主義になっていないか?~
「東洋大卒」と学歴を偽ったと指摘されている伊東市長が「辞職撤回」を表明し、市役所には抗議が殺到しているそうだ。公職選挙法違反容疑の告発状が出ており、今後の展開は捜査や市議会の動向次第だろう。伊東市長の件は別として、そもそも、学力(学歴)と政治力は関係ないはずだ。学歴偏重主義は学歴詐称を誘発するだろう。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授は、著書の中で「尊厳ある仕事や社会的な敬意を得る条件は大学の学位だという考え方に基づいて政治を構築すれば、民主主義的な生活を腐敗させてしまう。大学の学位を持たない人々の貢献をおとしめ、学歴の低い社会人への偏見をあおり、働く人々の大半を代議政治から実質的に排除し、政治的反動を誘発することになるのである」と指摘している。政治家を選ぶ側も、選び方が試されている。(安藤(未))
▼読売新聞『伊東市長が辞職撤回、告発状提出の住民「法的にさばいてもらうしか」…捜査機関への「卒業証書」提出も拒絶の考え』(2025/08/02 10:38)
▼マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』早川書房、2021年、ISBN:9784152100160