30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

人はだまされやすい~ソーシャルエンジニアリングに注意

ClickFixという手法でマルウェアを感染させる手口が増えている。Webページに偽警告や偽CAPTCHA(人とコンピューターを区別するために「あなたは人間ですか?」と問うもの)等を出してその解決策(Fix)を表示し、それを信じたユーザー自身にPCを操作させ、マルウェアに感染させるものだ。2024年上旬ころから観測され、その後世界的に急速に流行、国内でも被害が発生している。実際の手口は単純だが、派生型の手口も確認されるなど、今後深刻化する可能性がある。こうした技術的な手段を使わずに人の心理的な隙や行動のミスにつけ込んで、個人が持つ秘密情報を不正に入手する手法を「ソーシャルエンジニアリング」という。人をいかにだますかというところに攻撃者が注目し、さまざまな手口が生み出されているがClickFixはその1つだ。人はだまされやすいことを痛感させられる。(芳賀)

富士山噴火に備え、今から備蓄を

東京都は8月22日「富士山降灰特設サイト」を開設。YouTubeにも降灰対策に関する動画をアップした。「灰は目や気管支に入ると深刻な健康被害をもたらすため、ゴーグルやマスクを備蓄する」「噴火が予測されるときには窓や換気口に目張りし、灰が家の中に入らないようにする」「灰は自然になくならないため、噴火後は行政の指示に従って処理する。水に浸すと固まるため、下水に流さない」「降灰は2週間程度続くこともある。備蓄食料は3日分、できれば1週間分以上用意する」など、基本事項がまとめられているのでぜひ一度見ていただきたい。300年前の宝永噴火では、噴火の数日前から地震が発生するなど予兆が確認されたという。しかし予兆が観測されてから備蓄を始めればパニックや買い占めが起こってしまうだろう。今のうちから備蓄を開始することが必要だ。(大越)

▼富士山降灰特設サイト(東京都)

頭では理解していても、実践には日々の訓練が必要

電車の入口付近に人が溜まるのは、奥へ進むための通路をふさぐ人がいるからかもしれない。今朝も一人の女性が通路に抜ける場所をふさいでいる。いつも適切な指導やコミュニケーションの研修で話していることだが、人は誰でも嫌われたくないし、指摘や口出しをされたくないもの。だから「通路をふさがないでください」と言えば、きっと彼女を不快にさせてしまうだろう。人はいい人だと思われたいし、感謝されたいもの。だから笑顔で「後ろを通していただけますか?」とお願いし、協力いただいたら「ありがとう」で、お互い気分良くいられるはずだ。よし、この手で行こう!と思った矢先、彼女は黙って通路をあけてくれた。表情に出ていた?恥ずかしくなってうつむいたまま奥へ進む。せめて「ありがとう」を言うべきだった!わかっていても、実践は難しい。(吉原)

本当の貧困を考える

高校時代に先生から聞いた話だ。先生のご尊父がインドに旅行した際、観光客に施しを求める人々が観光バスを取り囲み、その人々をバスガイドが棒で叩きながら、バスを発車させようとしていた。先生のご尊父が、その人々の中に片腕の無い子どもを見たとき、思わずその子に食べ物を渡そうとした。すると、そこに人々が殺到し、パニックになってしまい、バスに逃げ込んだ後、バスガイドは「余計なことをするな!」と激怒した。ご尊父は「あの子は片腕が無かった!誰かが食べ物を与えないとどうやって生きていくんだ!」と反論した。バスガイドは「あの子の腕を切ったのはあの子の親だ!お前みたいな奴に同情させるために!」と言った。ご尊父はもう何も言えなくなったそうだ。本当の貧困とはこういうことだ。私の多少の苦労は笑い話にしかならないと思う。(安藤(未))

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