週刊 危機管理Plus 2017年6月19日号



テロ等準備罪の射程範囲

改正組織犯罪処罰法が成立した。「組織的犯罪集団の構成員ではない周辺者が犯罪計画に加われば、処罰されることはあり得る」とする政府の答弁について、「周辺者」の拡大解釈を懸念する声があがった。法務省は、「暴力団と結託して地上げを企てた悪徳な不動産業者」を例示したが、反社リスク管理においては、暴力団と一定の関係をもつ「周辺者」を「反社会的勢力」に含めて排除の対象とすべきとの考え方が一般的であり、例示は「共生者」の排除の観点から違和感はない。犯罪組織の実態をふまえれば、排除の対象を周辺者にまで拡大してはじめて、実態を正しく捉え、適切に対応できると言える。「関連性」の認定に、恣意性や権利侵害があれば、その行き過ぎを正しくいく「牽制機能」は必要だが、あまりに限定的な運用は犯罪組織の活動を助長するだけだ。(芳賀)


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痴漢冤罪対策はもはや企業の課題

痴漢と冤罪に関する話題が後を絶たない。最終電車の中で痴漢と疑われた男性が警察の下車命令に従わず、家路を急ぐ乗客を巻き込み大騒動になったという。いわゆる痴漢冤罪保険や、弁護士による支援アプリなども登場している。かつては逃亡こそ最善と語る弁護士も一部にあったが、線路へ逃走を図った男性の轢死というショッキングな事故以来、戒めの論調一辺倒だ。そもそも痴漢被疑者が無実であってさえ逃走を選択するのは、確かに司法の問題もあろうが、仕事や社会生活の全てを失う恐怖によるところが大きい。企業としてはもはや、そうした局面での適切な対応方法とともに、真に冤罪ならば会社はそれを信じ支援していくという姿勢を教育や制度面で示し、不幸な事故は勿論、刑事罰に問われるような誤った対応から社員を守ることも必要な段階に至っている。(高森)


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今こそ求められる法令遵守や権利保護の原点である「自律」の精神

大手出版社が出したレシピ本にタイトル、デザインとも酷似するレシピ本を別の出版社が出版した。業界関係者によると、カバーデザイン等は流行にあわせて似たデザインの本が多くなるとのこと。後発書籍のタイトルはひらがな1文字の違いでしかない。本来知的財産権に厳格なはずの出版社が、業界慣例とはいえ、デザインやタイトルを酷似させることには違和感を覚える。企業では、例えば資料への新聞記事掲載や書籍からの引用については、細心の注意を払いながら知財コンプライアンスを推進している。本来、著者等の知的財産に最大限の配慮をすべき出版社が、自ら酷似本を出しながら、著作権を主張するのは矛盾している。インターネット社会では情報流動化・情報源匿名化の傾向が強まるものの、「自律」なくして権利保護はできないことを忘れてはならない。(西尾)


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総務省情報通信政策研究所 AIネットワーク社会推進会議 報告書2017(案)に関する意見募集

同研究所は、AIネットワーク化の推進に向けた社会的・経済的・倫理的・法的課題を総合的に検討する「AIネットワーク社会推進会議」を開催しており、その報告書(案)に関する意見募集を始めた。「あらゆる分野におけるヒト・モノ・コト相互間の空間を越えた協調が進展し、もって創造的かつ活力ある発展が可能となるという人間中心の社会像」「智連社会」を掲げている。AIが生む価値はデータを利用する場からしか生み出せない。こうしたデータの流通プラットフォームや市場が生まれつつあることを示唆している。このような現象は今現在技術を持たなくとも巨大なデータを持っているデータホルダーの力が、技術がこなれて普及するにつれ大きくなる可能性がある。データもAI技術も持たない企業、AI技術だけを持つ企業が負う資本主義的なリスクは高いだろう。(伊藤)


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