週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

2017年09月04日号

AIに潜む本質的なリスクとは

人工知能(AI)の深化が止まらない。だが、その成果は、犯罪者にも等しく配分される。昨年流行したランサムウェア「ペトヤ」は、侵入先の脆弱性や穴を発見するためにAIを活用、わずか2分で14,000台のPCがウィルス感染した銀行もあったという。また、最近では、ホーキング博士らがAIの軍事利用に警告を発した。悪用リスク対策が急務の中、AIの「正しい」活用には、その暴走を制御する「停止させるスイッチ対策」がキーとなる。だが、「暴走」とは何か、倫理的に「正しい」とは何か、AIと共存すべきは「誰か」など、突き詰めれば、AIのあり方を通して人間や社会のあり方が問われているとも言える。AIの本質的なリスクへの対応は、一握りの科学者や実業家、政治家だけに任せるべき問題ではない。一人ひとりの高い関心と社会的な監視こそ、今、求められている。(芳賀)

「情報銀行」と個人データの活用

個人データの活用を促す取り組みとして、政府のIT総合戦略本部を中心に「情報銀行」構想が検討されている。情報銀行は個人が自らのパーソナルデータを信頼できる認定機関に預けて管理し、本人の意志に基づいて、データの流通・活用を促進する仕組みだ。例えば、個人の健康状態や生活環境に適した健康増進サービスを受けられるようになることが期待される。だが、データを分野横断的に流通させることは、それだけプライバシー侵害の脅威を増すことにつながる。積極的な流通を進めるなら、そもそものビジネスモデルの健全性を十分に考慮した個人データ保護の仕組みが必要になる。リテラシー(活用力)の低い消費者を守る対策はもとより、個人データの違法な流通を防ぐ信頼性を確保するためには、参入企業の認証や参入要件のハードルも高く設定すべきだ。(佐藤)

離職率のコントロールと人的資源の有効活用

総務省の労働力調査によると転職者は高水準で推移しており、労働者の流動化が進んでいる。産業別の離職率は宿泊・飲食サービス業が最も高く、次いで生活関連サービス・娯楽業が高い。離職の問題は、産業間に限らず企業間格差も大きい。離職率をコントロールできないことは、人的資源を有効に活用できないことと同義で競争的市場では勝ち抜けない。高い離職率は採用や研修コストの上昇だけでなく、研修リターンの低下を通じ研修そのものの削減につながり、生産性の低下を招く。ただし、企業が成長する過程で必要な人材、求めるスキルも変わるため、一定の入れ替わりは組織の活性化につながる。一方、役職定年のように優秀な人材ほど離職してしまう制度は逆選別が働く。企業は自社の人事データを客観的に分析し、職場環境や制度摩耗を見直すことが必要だ。(伊藤)

Back to Top