週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

特殊詐欺グループの高度化への対応が必要だ~「在宅勤務」型のかけ子が登場

警視庁が摘発した特殊詐欺グループの「かけ子」の女が、アジト(犯行拠点)から遠く離れた自宅から犯行に及んでいたという。アジトから集団で電話をかける手法が一般的だが、女は犯行に使う他人名義の携帯電話などの犯罪ツールを郵送で受け取り、グループの指示のもとで電話をかけ続けていた。アジトを構える従来の手法では、不審な人物の出入りや多数の電話の声の騒音などから近隣住民等から通報される可能性があり、短期間でアジトを転々とする必要があった。車やホテル・民泊等を転々としながら犯行に及ぶ詐欺グループも現れたが、この「在宅勤務」型ではアジトを構える必要がないばかりか、実態解明が困難となり、警察の摘発から逃れられやすくなる。攻撃サイドが圧倒的な優位に立つ構図だが、対峙する側の創意工夫と本気度が試されることになる。(芳賀)

警視庁による平成30年上半期サイバー攻撃の情勢

警視庁によると、今期のサイバー攻撃の情勢は、実在の企業などを騙り不特定多数にメールを送りつける「ばらまき型」が攻撃全体の約87%を占めている。相手によって件名や本文内容を変える標的型攻撃と異なり、同じ件名、内容のメールを多数送り付ける、「数打てば当たる」方式の攻撃といえる。以前よりある「残高」「ご確認」といったそれらしい件名のメールであり、対策としては、あらかじめ脅威を知っておくとともに、普段やり取りがない相手からのメールは警戒し、少しでも気に掛かる点がある場合には添付ファイルは開かないことだ。また、社内で「怪しいメール」や「怪しいPCの挙動」があったときの報告先は明確になっているかも確認しておきたい。知らない人がいれば、それはトラブル時の対応について、社内で周知徹底されていないということだ。(佐藤)

重要インフラの緊急点検、内閣官房国土強靭化推進室

豪雨や台風、地震等、未曾有の事象によって、重要インフラに重大な影響がもたらされたことを受け緊急点検を行うという。北海道胆振東部地震では、道内全域が連鎖的に停電するブラックアウトが起きた。生活インフラはマヒし、スーパーやコンビニは通常営業ができないだけでなく、商品が作れない、運べないという苦境に直面するなど、高度にシステム化された商品供給網の脆さが露呈した。その中でコンビニのセコマはガスで炊いたご飯をおにぎりとして提供したり、全店に常備していた非常用キットをガソリン車につなぎ発電してレジを動かしたりした。また、自前の物流センターでは、自家発電装置に加え、三週間分の燃料備蓄により輸送を継続できたという。生産、物流、販売の垂直統合は一つの回答だが、重要なのは災害時の影響を想像する力と事前の準備だ。(伊藤)

仮想通貨に流れこむアングラマネーすでに25億ドル、AMLの対策は急務か

米国CipherTrace社は10日、仮想通貨を介した資金洗浄についての報告書を公表した。同社によれば、仮想通貨取引所から仮想通貨を盗み出す事件が今年になって急増しており、9月までの被害総額は9億2700万ドル(昨年比350%)にのぼるという。また、盗まれた仮想通貨の97%が資金洗浄対策(=AML)法制がない国の取引所に流れ込み、これらの取引所では2009年以降すでに25億ドルが洗浄されたとされる。同報告の数字は具体的で、仮想通貨に流れ込む犯罪収益の巨大さが浮き彫りになったと同時に、その資本逃避の実態は、現状取られているAML施策が有効であることも示していよう。7月のG20では仮想通貨の多国間規制は先送りされたが、実現もそう遠くないとされる。本質的に非中央集権的な設計思想を帯びる仮想通貨だからこそ、健全性の確保に向けて毅然とAMLを貫く必要があろう。(山岡)

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