週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

官民連携で健全な暴排意識の醸成を

六代目山口組総本部では例年、ハロウィーン時に組員らが地域住民に菓子を配っているが、昨年はなんと約1,000人の親子らが受け取ったという。「組員の子どもが差別される」などと人権擁護を重んじる一方で、暴排の重要性を軽んじてよいわけもなく、ようやく神戸市教育委員会と兵庫県警が連携して対策を強化することとなった。だが、いまだ教職員にとっては、児童に「行くな」と指導して何か面倒なコトが起きるのは嫌だというのが本音であり、形式的・表面的な取り組みはむしろ危険だ。暴排意識を、継続的に正しく醸成してこなかった自治体等の「事なかれ主義」「前例主義」がこのような地域住民や教職員等の増加を招いたと推測されるが、今回の新たな連携を通じて、健全な暴排意識と人権擁護が高い次元で融合し、実効性ある暴排が実現することを期待したい。(芳賀)

カスタマーハラスメントは経営問題である

当社のクレーム対応セミナーに対するニーズが高い。悪質クレームを中心に、20年以上、現場で対応支援をしてきた実績に基づく実践性が好評の由縁である。カスタマーハラスメント対策としては、現場の不当要求対応スキルの向上が欠かせない。しかし、合わせて重要なのは、経営幹部がそのリスクを認識し、体制整備に本腰を入れることである。カスタマーハラスメントを引き起こすモンスタークレーマーは、担当者に無理難題を申し立て、執拗に責任を強調して対応を迫ったり、罵詈雑言を浴びせ、客の立場を振りかざしたりして、担当者を困らせる。これに対応する担当者のストレスやプレッシャーは相当なものだ。現場任せでは担当者は疲弊し、メンタル不調による労務問題や、主力社員の退職を招く。まさに経営問題を生起する。危機管理の視点が不可欠である。(西尾)

政府、セキュリティ強化に向け国内のIoT機器を調査

総務省と情報通信研究機構は、インターネットプロバイダーと連携し、サイバー攻撃に悪用される恐れのあるIoT機器の調査、当該機器の利用者への注意喚起を行う取り組み「NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)」を2月20日から実施すると発表した。本調査は、IoT機器に設定されているパスワードが容易に推測されるものかどうかを確認するもので、機器の内部に侵入したり、通信の秘密を侵害したりすることはないしている。現状としてIoT機器ではパスワードが初期状態のまま、もしくは攻撃されやすい脆弱性が残ったままで利用されているものが多くあり、それらの機器が悪用の足場となっている。どれか1台でも乗っ取られれば、電力や交通機関などのインフラに影響を与える恐れがある今、事業者や利用者にとってIoTにかかる危険性を認識するきっかけになることを期待したい。(佐藤)

スバル群馬製作所、社員自殺は労災認定

自殺は上司の厳しい叱責や過労でうつ病を発症したためだとして、太田労働基準監督署が労災を認定していた。亡くなる前の1ヶ月間に105時間程度の残業があったという。遺族に同僚従業員から匿名で手紙が届き「日頃から課長席の前に立たされ、幾度も大声で叱られ、同僚皆の目の前で説教を受けていた」との記載があり、さらに残業を隠蔽するため17時の退勤手続き後に勤務を続けさせたという。事実なら悪質なコンプライアンス無視との批判は免れない。悪意のある隠蔽に対して形式的な監査にとどまっては対抗できない。また、パワハラは当事者では解決が難しい場合が多いという指摘もある。ゆえに内部通報の存在意義があろう。パワハラを認識した第三者が躊躇なく通報できるよう本人以外の通報も推奨するなど、内部通報制度の実効性を能動的に高めるべきだ。(伊藤)

南海トラフ地震情報の最新事情(最終回)

昨年12月11日の報告では、もっとも被害の大きい「半割れ」ではM8クラス以上の地震が発生した場合、さらにM8クラス以上の地震が7日以内に発生する頻度は10数回に1回程度。「一部割れ」ではM7以上の地震発生後に同じ領域(震源から50Km以内)でM8クラス以上の地震が7日以内に発生した事例は、数百回に1回としている。平たく言うと、「南海トラフでM7~8クラスの地震が発生したら、その1週間以内にもう一度M8クラスの地震が来る可能性がとても高い」ということになる。山本順三防災担当大臣は1月8日の記者会見で、これらの報告書に基づき自治体や企業の対策を例示する指針案を3月末までにまとめ、2020年からの運用開始を目指す考えを表明した。指針を受けて企業はBCPの見直し迫られるが、その内容については春から別コラムでお伝えしたい。(大越)

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