週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

闘うコンプライアンス~制裁リスト対象者の宿泊拒否を巡って

米ヒルトングループ系列のホテル「ヒルトン福岡シーホーク」が昨年10月、駐日キューバ大使の宿泊を拒否した問題で、ヒルトンは今後も全世界でキューバ外交官の宿泊拒否を続けるという。「米企業なので米国の法律を守る」とはいえ、日本の旅館業法に抵触するのも事実で、厚労省の担当者も「旅館業法に基づいて営業許可を取っており、日本の法律に従うべきだ」とし、福岡市も行政指導を行った。旅館業法では宿泊拒否が禁止されているが、一方で、事業者は宿泊約款に暴排条項を導入して事実上宿泊拒否を行っている。社会的要請への対応として妥当であり、今後、各国の制裁リスト対象者を宿泊拒否できる可能性も否定できないところだ。現状、同社の「闘うコンプライアンス」の様相を呈している本件だが、厳格なAML/CFTへの対応の視点からの見直しも必要となろう。(芳賀)

データ社会に求められる安全と信頼

個人情報を高度に活用する企業はデータの力で生活の利便性を高め、社会の問題を解決する新たな担い手である一方、利用者の安心や信頼を損なうような事例も相次いでいる。グーグルは個人データ活用の透明性の欠如、広告に関する有効な同意の不足がGDPRに違反したとして60億円規模の罰金を科された。フェイスブックは情報流出事故が相次いで発生しており、Tカードも会員情報を裁判所の礼状なしに捜査当局に無断で提供していた問題が発覚した。すべてが違法とは判定できないものの、重要なのは利用者が企業を信頼して安心できるかであり、この前提が崩れるようなら個人情報を集めて活用することが難しくなる。利用する企業側は、収集や利用についてより透明性を高め、保護と活用のバランスというよりは、活用にあたりしっかり保護するという視点が不可欠だ。(佐藤)

有給休暇消化 使用者において義務化迫る、2019年4月

労働基準法の改正により、全ての企業において年10日以上年次有給休暇(有給)が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、有給の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務化され、2019年4月の施行が迫る。民間旅行サイトのエクスペディアの調査によると、有給の取得率、取得日数とも米国と並んで世界最下位の水準で、さらに有給取得に罪悪感があると回答した割合は58%と世界最多だ。休むと同僚に迷惑を掛けるという心理も背景にあろう。働き方改革には、仕事の属人化を排し、仕事の内容や進捗を見える化するなどの工夫も必要だ。有給の取得や労働時間の短縮は企業の社員に対する慈悲心やサービスによるものではない。そのような過去のメンタリティ残滓を完全になくすなど、企業側の考え方も変革する必要がある。(伊藤)

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