週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

善管注意義務違反と不作為~西武信用金庫問題を考える

西武信用金庫に対する行政処分については、「準暴力団の配偶者が取引の当事者だった」という点で明確に反社会的勢力と認定できないグレーゾーン対応に伴うものだった。この論点について関東財務局が初めて判断したこともあり、「辞任まで追い込む必要があったのか」との声も聞かれる。だが、反社会的勢力排除の問題に限ってみても、監事らの要請を拒絶した行為は善管注意義務違反にも問われかねない重大な不作為(通常の注意を行っていれば分かったはずだがあえて見ないようにした)と評価でき、その結果、準暴力団の活動を利することになりかねない状況を招き、それを放置したこと、理事長の暴走を止められなかった内部管理態勢の不備もまた明らかであり、これに投資用不動産向け融資の問題も加味すれば、そういった批判はあたらないと考えるべきだろう。(芳賀)

進む検証、「情報銀行」どう実現

個人の意思で個人データを預け、目的に応じて流通させる「情報銀行」の実現に向けた取り組みが国内外で加速している。国内ではNTTデータが、約700人のモニターを対象に個人データを流通させて、活用する仮想の操作検証を行った。一方、政府が全国の1000人を対象に実施した調査によると、情報銀行を利用したくないとの回答は8割を占めており、情報漏えいへの危惧や料金の設定などの課題が浮かび上がる。また、情報を預けて個人が受け取る対価が、飲食店の割引クーポンなどにとどまるのであれば、今あるサービスと同様であり、それでは、情報銀行を活用するインセンティブにはならない。情報の安全な取り扱いが大前提としても、データを提供する個人が果たして魅力的な対価を得られる仕組みなのかどうかが、情報銀行の枠組みが十分に機能するかの鍵を握る。(佐藤)

パワハラ防止法、相談窓口の設置義務付け

今回成立したパワハラ防止関連法案では、身近に潜むパワハラを見逃さないよう、企業に相談窓口の設置などの防止措置を義務付け、相談者のプライバシー保護も求める。弊社の調査では、ハラスメントを受けたり見聞きしたりした人の約4割が誰にも相談していない。その理由は、「相談してもなにも変わらないと思った」がもっとも多く、約6割を占める。続いて「報復等不利益を懸念した」、「通報者が特定される懸念がある」など通報制度そのものや調査・是正措置への不信を示す理由が上位を占める。また、相談窓口を社内にのみ設置している企業は約45%だった。一方、社外に設置している理由は、社内の負担軽減の他、「通報の揉消し防止」や「中立性」といった信頼に関わる回答が目立つ。外部専門家の活用はパワハラ防止の実効性を高める手段となり得る。(伊藤)

「引きこもり支援団体」という闇

中高年の引きこもりにまつわる事件が連続して発生し、心が痛い。筆者も就職氷河期時代なので、ひとごととは思えない。注目が集まるにつれ、新たな問題が顕在化している。「引きこもり支援団体」という闇だ。もちろん正当な団体もあるが、3ヶ月で2百万から5百万円という大金を親から支払わせ、本人の承諾を得ずに半ば強制的に施設に送こむなどの問題を起こしている団体も存在する。さらにそれらの団体の代表者が「有識者」として今回の問題に対し、テレビ等で発言しているという。引きこもり問題を長年取材している信頼できるジャーナリストによると、6日時点でネットもあわせて計5局7番組が、トラブルを起こした施設を取り上げてしまった。災害時と同じく、社会が不安になると様々な情報が世の中を駆け巡る。情報を発信する側として、自戒したい。(大越)

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