週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

特殊詐欺対策の「盲点」を突かれた~警察は信頼回復に全力を

京都府警の現職警察官が、特殊詐欺の被害をいったん防止した高齢者から現金をだまし取った疑いで逮捕された。特殊詐欺の被害者の85%以上が60歳以上の高齢者だ。その対策について、警察庁の「オレオレ詐欺被害者等調査」では、単に「お金の使い道を聞かれた」、「チェックシート等を示された」といった窓口の対応だけでは、被害の阻止に至らない実態がうかがえる一方で、「警察官が来た」などの対応が被害の阻止につながったことが示され、「被害者が現金を準備しようとする際に、その約5割は金融機関窓口で現金を払い戻していることに鑑みれば、警察と金融機関等が連携して、より踏み込んだ窓口対応を行うことが被害防止に効果的と認められる」と結論付けている。「警察の信用」を逆手に取り、被害防止に有効な「連携」が悪用された事実は極めて重い。(芳賀)

ますます危ぶまれる、形式的BCP整備促進による災害時の対応

通称、中小企業強靱化法が成立した。中小企業のBCP策定が進まない現状を受け、税制優遇等も盛り込みBCP策定促進を狙ったものだ。ただ、経産大臣がBCPを認定するスキーム等、実効性確保は疑わしい。中小企業庁公表の計画策定応援策も、これでBCPの実効性が確保できるのか、甚だ的外れだ。法整備にはBCPムラの利権が絡むが、形式的なBCP整備を進める関係者は、形骸化時の責任も明確にすべきだ。国交省での検討を受けて、関空では機能別BCPの策定を進めているが、機能別BCPは危機対応の観点から重大な脆弱性があり、危うい状況だ。国は、重要な社会インフラである空港やライフラインである水道の民営化を進めた。大規模災害時に国として中央集権的な対応責任を回避しながら、「国家強靭化」「中小企業強靭化」を唱える矛盾に、国民や企業は気づかなければならない(西尾)

日々増加、パスワードリスト用いた攻撃による被害

国内外でサービスを提供しているポータルサイト、ECサイトが相次いで不正ログインの被害に遭っている。攻撃者は、世界中で数十億件流出している使い回されたIDとパスワードを用いて正規の手順で不正にログインすることができる。対策として、生体認証や二段階認証などの仕組みが登場しているものの、すべて事業者がシステムの改修や投資に即踏み切れていないのが現実だ。多要素認証は安全性の向上に繋がる一方、認証手順が増えるため利用者の利便性は低下する。多要素認証の導入を単に推進するのではなく、扱う情報や資産の性質と、安全性や利便性のバランスを考慮して、サービスごとに適切な認証環境を構築する必要がある。また、利用者においては、極力サービスごとにパスワードを使いまわさないということであり、利用者側の意識の持ちようも重要だ。(佐藤)

コンビニ、食品ロス削減へ 会計システムになお課題

食品ロスのやり玉に挙げられているコンビニは、逆に対策が進みつつある。ローソンは弁当や惣菜を売り切るために20時以降に値引き販売を推奨している。また、セブンイレブン消費期限の近づいた弁当等の購入者にポイント還元する策を今秋から全店で開始すると発表し従来方針を転換した。会計では廃棄の損失は85%が加盟店負担として費用算入される。本部は粗利益の6割、加盟店4割の配分だが、廃棄は本部が15%しか負担しないため加盟店の不満も多い。廃棄損失を原価算入すれば、粗利分配を通じて配分割合は是正される。だがその場合、加盟店が廃棄として商品を横流しすると不正利得が可能だ。一般と異なる会計システムは、フランチャイジング独自のリスク管理の一端を表す。社会的な注目が高い今こそ、共存共栄へのモデルチェンジをする機会とすべきだ。(伊藤)

大阪北部地震の教訓その1。エレベータ閉じ込め事故

昨年6月18日に発生した大阪北部地震からもうすぐ1年。当時クローズアップされたのが、エレベータの閉じ込め事故だ。当時の新聞報道によると少なくとも5万基以上が運転停止し、東日本大震災の210件を大きく上回る339件の閉じ込め事故が発生した。当時は地震発生後、救出に最大で5時間20分、平均1時間20分かかっており多くが3時間以内に救出されたと報告されている。政府は南海トラフ地震では最大4万1千台が停止し、2万3千人が閉じ込められると予想しているが、これはかなり控えめな数字だろう。エレベータ内で地震が発生したときの心得は、1)全ての階のボタンを押す。2)インターホンで救助を呼ぶ。3)停電しても慌てずに救助を待つ-だ。よく映画で見られる「天井をはずして脱出」は日本のエレベータでは構造上不可能なので、注意して欲しい。(大越)

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