週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「匿名化」に潜むリスクを認識せよ

ビッグデータなど「匿名化」された大量の個人データの安全性に懸念を抱く人は多くないだろう。だが、最近、たった15の属性で米マサチューセッツ州の住民の99.98%の個人が特定できたという海外の研究結果が公表された。「匿名化」は本来、プライバシー保護のための措置だが、断片的な複数の「匿名化」情報から高い確率で個人が特定されてしまっては本末転倒だ。過去には、公開情報だけで病歴記録が特定されたり、閲覧履歴情報と映画レビューサイトの内容を照合して個人が特定されたケースなどもあったという。米国ではデータのオンライン公開が進み、属性等のデータが日本より入手しやすい事情があるとはいえ、ビッグデータの活用が進む日本も無関心ではいられない。個人情報保護のレベルは、「匿名化」に潜むリスクにも配慮が求められるところまできた。(芳賀)

反社リスク対策として今、事業者が行うべきこと~吉本興業「闇営業問題」を受けて~

今回の問題を受けて、今、事業者が行うべきことは何か。それは、一連の報道で反社リスクに関心が高まっている今こそ膿を出し切るチャンスだと捉え、従業員に対して積極的にアクションを起こすことだ。コンプライアンス研修や実際の事例の共有なども重要だが、反社の問題は会社がきちんと対応するので情報を上げてくれと社内に呼びかけてほしい。また、現場の社員の「暴排意識」と「リスクセンス」の底上げとともに、現場の判断を担う管理職やリーダーのあり様にも注意を払ってほしい。現場における事実上の「反社リスク許容ライン」を決めるのは、実は現場の彼らだ。現場によって「反社リスク許容ライン」にバラつきがあることを会社として認識できているのか、あるとしてそれが許容できる範囲なのか、今一度、全社的に見直してみる機会とすべきだろう。(芳賀)

個人データ分析のルール整備と利用者からの信頼

「リクナビ」は、学生の内定辞退率を予測し販売するサービスを廃止した。問題となったのは本人に十分に説明がないまま、こうした重要情報を外部に提供し続けたためだ。内定辞退の発生に備えた機動的な採用補充も可能になるなど、優秀な人材確保を目指す企業にとって予測データは使い方次第で活用の道が開ける一方、利用者の不信が膨めば、サービスの成長の芽も摘み取られることになる。個人情報を集めて加工する企業だけでなく、それを利用する企業もこれまで以上にデータの活用に倫理や規律が求められていることを自戒しなければならない。個人が自らデータの使われ方を選べる仕組みや、利用者も納得したうえで真に同意していると評価できる個人情報の取扱いを行うことが、結果的に利用者や世間からも評価されるサービスの実現につながるのではないか。(佐藤)

食品ロス削減、「フードテック」活用

食品ロス削減の機運が高まるなか、特殊な技術により鮮度を維持したり、長期保存が可能な乾燥シートにしたりする「フードテック」というあたらしい試みが注目されている。たとえば、特殊なカビを使ったシートでマグロを包むと1週間以上も腐敗せず、逆にうまみが増すという。フードテック分野は、肉から魚、さらには野菜へ拡大している。のりの生産技術を応用した乾燥シート状にした野菜で具材包むという。野菜のように生産にかかる費用も利益も安い薄利多売のビジネスモデルの場合、規格外のものは生産段階で廃棄される。廃棄をへらしつつ、付加価値のある食品を生み出すことに役立っている。世界規模では、先進国の供給過剰や途上国での保存などのインフラ未整備により食料の3分の1は廃棄されている。商機としてイノベーションを加速させて欲しい。(伊藤)

相次ぐ水難事故。レジャーが悲劇にならないために

警視庁によると昨年の水難者数は595人。死者・行方不明者数は242人にものぼる。先日、千葉県では離岸流と呼ばれる急激に岸から沖合に引き戻される流れにより、2人の青年が貴重な命を失った。川でも水難事故が相次いでいる。岐阜県では川の事故により2人が死亡、1人が行方不明だ。離岸流では、流れに逆らって無理に岸に向かって泳ごうとすると、体力を消耗し、かえってパニックに陥るため、まずは海岸線と平行に泳ぎ、離岸流が途切れたところから岸に向かって泳ぐことが推奨されている。川では、白い泡の立っている場所は浮力が変わるため、どんなに泳ぎのうまい人でも泳ぐことができない。そのため水に入る時は、大人も子供もライフジャケットが必須だ。何より楽しいレジャーが悲劇に変わらないよう、自然のリスクについて家族で話し合うことが大切だ。(大越)

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