週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

特殊詐欺リスクの低減のために必要なこと

特殊詐欺の被害者は「自分は騙されるはずがない」との思い込みから「確証バイアス」に支配されることが多いが、加えて、焦りを覚えると平素なら普通にできていることができなくなるものでもある。手口を知っていても考えが及ばなくなり、犯人がいう方法以外の対処策を見つけられない状況に追い込まれ、「確証バイアス」も絡みネガティブ・スパイラルに嵌るのだ。その回避策として、「留守電に録音し、スピーカーで聞くこと」が注目されている。渦中に直接ではなく、自分のタイミングでスピーカーというフィルターを通して録音を聞くことで冷静な判断が可能になるという。さらに、録音を嫌う犯人からのアプローチの遮断にも有効だ。騙されるリスクの低減には、対策の多重化が有効であり、人は騙されるものだと自覚し、過信に陥らないことが出発点となる。(芳賀)

【注意喚起】日本年金機構を騙るフィッシング詐欺

「個人年金電子ファイル情報更新」と称した偽メールについて日本年金機構が注意喚起を行っている。メールには本文に受信者のフルネームを記載し、さらに正規のロゴや正規のサイトに似せたドメインを使用している。誘導先のフィッシングサイトでは基礎年金番号や個人情報、クレジットカード情報を入力させようとするもので、情報を入力してしまうと、詐欺被害やクレジットカード不正利用の被害に遭う可能性がある。また、たとえ誘導先が鍵マーク付き(httpsから始まるURL)であっても、不正サイトかもしれないことを知っておきたい。安易にメール内のリンクはクリックせず、心当たりがない場合や不審に感じる場合はメールを無視することだ。年金は今多くの人が高い関心を持つ話題であり、今後も同様のフィッシング詐欺が多く発生する可能性があるため注意したい。(佐藤)

あおり運転の危険を遠ざける運転のリスク管理

あおり運転が社会問題として注目されている。ドライブレコーダーの普及により表面化している面もあろう。2017年の東名高速の死亡事件がその契機だ。警視庁の2018年度の交通死亡事故に関する報告書によると、車間距離不保持は11793件でほぼ倍増と取締りが強化された。あおり運転の被害は誰にでも起こり得るので、被害に遭わないためのリスク管理も必要だ。高速道路3車線では、一番右は追い越し車線なので、後ろから車が迫れば走行車線に戻るなど走行車線を走るのが原則だ。本線への合流では、左の走行車線に合流し、無理に右車線へ割り込まないなど後続車にブレーキ操作をさせないこともリスク軽減につながる。大型トラックは左の走行車線を走るのが原則だ。この違反もトラブルにつながりやすい。仕事で運転をする社員へのきめ細かい啓蒙が身を守ることになる。(伊藤)

災害対策は長い歴史を振り返ることが必要

先日、北海道のK市にBCP訓練のための現地調査に入った。湾岸部で漁業の盛んな、道東に位置する同市は、記録に残るだけでも慶長16年(1611年)から地震と津波の記録があり、その後も度々歴史に災害の爪あとが残っている。少し驚いたのは、1990年代にもM7.8を記録する大きな地震が発生しているのだが、その後に立て直されたと考えられる災害庁舎や市役所、消防署等が全て沿岸部に位置し、現在のハザードマップで最大津波高5m~10mの地点に密集していることだ。図書館で当時の新聞記事などを読んでいるうちに、90年代の地震では津波が発生していないことが分かった。恐らく市としては90年代の地震をベンチマークとして対策を立てているのだろう。日本の自治体の災害対策は、直近の災害のみに引きずられる傾向がある。長い歴史を振り返り、客観的な評価が必要だ。(大越)

Back to Top