週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

SNSの「犯罪インフラ化」を阻止せよ

最近SNSを通じて子どもが犯罪に巻き込まれる事件が相次ぐ。背景には、子どもとSNSの親和性、親の監視の甘さがある。SNSでは、「フィルターバブル現象」(検索サイトが提供するアルゴリズムが、自分が見たくないような情報を遮断する機能(フィルター)のせいで、まるで「泡」(バブル)の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなること)や「エコーチェンバー現象」(閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことよって、特定の信念が増幅または強化される状況)によってリアルの世界とは異なる、自分に心地よい状況が作り出されてしまうという。「自転車を買い与えれば、子どもの行動範囲が広がるのは当たり前」、「子どもにスマホを持たせるのは、繁華街の入り口に1人で立たせるようなもの」だからこそ、親の監視もまた不可欠だ。(芳賀)

Emotetの猛威、注意喚起と継続した対策を

Emotet(エモテット)と呼ばれるウィルスへの感染を狙う攻撃メールが、国内の組織で確認されている。添付のWord文書のマクロを利用して端末へ侵入し、Outlookのメール情報が窃取される。やり取りされたメールに「RE:」をつけて実際の返信を装い、元のメールに割り込む形でEmotetのダウンロードへ誘導する。また、「請求書」「賞与支払届」といった日本語のファイル名が使われた事例も確認されている。社内における注意喚起と、メールや添付ファイルを開いた場合のネットワークからの遮断、しかるべき部門への報告・連絡体制を確認しておく必要がある。また、Emotetの活動は“種まき"の段階という場合もあり、今後他のマルウェアへの連鎖や真の攻撃が開始される可能性がある。単発の対策で終わらせず、感染経路と拡散手法の確認、自社の状況の継続した監視が求められる。(佐藤)

かんぽ生命保険の不適切販売問題、会見強制終了

同社の不適切販売を巡る問題で外部弁護士らの特別調査委員会は、「不適切募集が黙認される風潮が形成されていた」と指摘した報告書を公表し、日本郵政グループの企業統治に問題があるとの認識を示した。会社側の調査では、法令・社内規定違反が疑われる契約が9月の調査時点から1万2836件と倍増した。また、グループ3社の社長による記者会見は2時間20分で強制終了し、報道陣から怒号が飛び交った。保険販売再開の時期や日本郵政社長の進退などの説明に明言を避けたり、社長自身が自己弁護するような主張がみられ、クライシスコミュニケーションの稚拙さが露呈した。記者会見は、「情報開示」と「説明責任」、「透明性」を確保するのが原則だ。具体的な責任表明を避けた姿勢は、説明から逃げたという印象を与えてしまう。危機管理の失敗パターンである。(伊藤)

Back to Top