週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

郵政ブランドとは何か、あらためて考えるべきだ~かんぽ生命保険不適切販売問題

報告書によれば、不適切販売の被害者の7割超が60代以上で、85%が女性だ。さらに、金融知識の乏しい高齢者らに不利益な契約を結ばせることで成績を上げた営業マンを優秀者として表彰してきた。いまだ国の関与が残る「郵政ブランド」の信用力を背景として郵便局を信頼する高齢者を組織的に食い物にしてきたこうした実態は詐欺的ともいえ、悪質極まりない。ノルマ至上主義、顧客軽視の営業スタイルが企業風土として全国の隅々にまで根付く中、約40万人に及ぶ従業員の意識改革は容易ではない。そもそもユニバーサルサービスであるが故の商品性の限界もある。だが、だからこそ、いま「顧客本位」に正面から向き合うべきだ。まずは、「顧客に選ばれる」ために、競争優位性の源である「郵政ブランド」とは何かを突きつめるところから始める必要があるだろう。(芳賀)

少年の特殊詐欺加担を防げ

ここ数年、特殊詐欺で摘発された詐欺犯のうち、少年や学生の割合が増えている。「簡単に稼げる」「リスクが低い」といったバイト感覚で、交友関係やSNSを介して詐欺に関わってしまう実態が浮かび上がる。受け子や出し子は摘発されるリスクが最も高く、「逮捕要員」「使い捨て」と言われているように、高収入に目がくらみ、或いは騙されて犯罪に手を染め、人生を棒に振ることになる。詐欺グループに自宅などが把握され、家族へ危害が加えられることを恐れ、犯罪行為と知りながらグループから抜け出せなくなってしまうケースもある。特殊詐欺に加担してしまう可能性は身近にあり、家庭や学校をはじめ、子供と接するあらゆる機関が目を配ることが重要だ。簡単に高収入が得られるバイトなどないし、犯罪に巻き込まれる可能性もあることを教えてあげてほしい。(佐藤)

不祥事とコンプライアンス

2019年を振り返ると、かんぽ生命保険の不適切販売、レオパレス21の建築基準法違反、日産自動車のゴーン逮捕、吉本興業の闇営業問題など企業不祥事の枚挙に暇がない。その度にコンプライアンスが叫ばれるが、一向に企業不祥事はなくならない。なぜか。企業がどのようなサービスを誰のために提供するのか、社会の中で何故存在しているのかという企業理念とコンプライアンスが一体化してないことが原因だろう。単にコンプライアンスの厳格化や現場に徹底を求めるだけでは、むしろコンプライアンスは形骸化する。経営者は、企業理念を社員一人ひとりに浸透させると同時に、現場がコンプライアンスに沿った行動ができる環境を整えることが重要だ。違反なくして達成できない目標は論外である。ただし、人間は弱いという前提で不正の制度的な盲点の点検も必要だ。(伊藤)

「水の人」でありたい

防災やボランティアの世界では、「風の人、水の人、土の人」という言葉がある。土の人はその名の通り、地域に密着して生活する住民たちだ。まず住民一人ひとりが災害に強くなり、いざというときに助け合える防災の土壌を作らなければいけない。そのために栄養となる水を注ぐのが水の人だ。これは地域や学校、組織の中で防災を率先する防災リーダーを指す。風の人は外部からの新鮮な知識を持ち込み、活動を活性化させる専門家や学識経験者だ。尊敬する神戸大学名誉教授の室崎益輝先生は水の人を、学校の先生と生徒の関係のように「すぐ傍らにいて後ろから背中を押す」存在としている。会員制をとるSPNにおいて、私たちコンサルタントは単なる外部の専門家ではなく、会員の皆様の背中をそっと押す水の人でありたいと願う。新年も宜しくお願い申し上げます。(大越)

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