週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

反社会的勢力の捉え方~グレーゾーンの拡大をふまえた対応を

首相官邸主催の「桜を見る会」を巡り、菅官房長官が「犯罪が多様化しており、定義を固めることは逆に取り締まりを含め、かえって複雑になる」、「定義をすることが難しいのではないか」などと述べ物議を醸した。政府もまた、反社の定義について「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定した。ご都合主義的なら言語道断だが、実は反社の捉え方としては正しい。グレーゾーンが拡大するほど認定は困難になるものであり、厳格な定義は「抜け道」を作るだけだ。「暴力団等と何らかの関係が疑われ、最終的には「関係を持つべきでない相手」として、企業が個別に見極め、排除していくべきもの」と捉え、「反社か否か」以上に「取引してよいか、関係を持ってよいか」を重視していく必要がある。(芳賀)

2020年はディープフェイクが流行か

2020年のセキュリティ脅威のトピックスとして、本物とそっくりな画像や文書、映像、音声などをAIや機械学習を使って作り上げる「ディープフェイク」があげられる。模倣された個人の名誉や信用が害されることはもちろん、政治・経済の帰趨に影響を与えたり、嘘の精度を高めた詐欺や犯罪に利用されることになるだろう。進化する技術の活用と悪用のいたちごっこが繰り返されているが、防御する側も無防備ではいられない。ディープフェイクの脅威は、システム上の弱点ではなく、人の隙や思い込みを突く点にある。極めて本物に近い偽コンテンツが拡散する前にプラットフォーマーが事前に遮断やチェックするなど技術的な攻防も重要だが、人に対する教育や啓発、訓練を丹念に繰り返すことで警戒心を高め、少しでも不審な点に気づけるセンスを養う必要がある。(佐藤)

企業倒産 「人手不足」倒産、「粉飾決算」倒産の増加

東京商工リサーチの調査によると、リーマンショック以降をピークに減少傾向だった企業倒産が増勢に転じる見込みだという。バブル崩壊後の倒産と異なり、後継者難から事業継続に行き詰まる事例が目立つ。19年の「人手不足」倒産は426件と調査開始以来、最多を更新した。うち「後継者難」が6割を占め、後継者問題を裏付けた。他方、コンプライアンス違反倒産のうち粉飾決算は18件と前年の2倍となった。長い粉飾期間、多額の負債が目立つ。粉飾決算は、着服などの不正と異なり発見が難しい場合が少なくない。帳簿は辻褄が合うように整えられているためだ。帳簿を机の上で眺めるだけの監査では発見できない。経験と知識に基づく想像力によって、その兆候を繋ぎ合わせて全体像を見抜く事が必要だ。現場に出向き兆候をキャッチできるか監査の姿勢が試される。(伊藤)

中国で新型ウィルス発生。危機管理担当者が今すべきことは

世界保健機構(WHO)は1月9日、中国当局が入院中の肺炎患者から新型コロナウイルスを特定したと発表した。中国側の報告によると13日現在で41人が発症し、うち1人が死亡。発症者の大半は、中国中央部に位置する武漢市の鮮魚卸売市場で働いていたり訪れたりした人たちだった。WHOはヒト-ヒト感染は確認できていないとして、現段階としては渡航制限などを行わない方針だ。危機管理担当者としては現時点でいたずらに騒ぎ立てる必要はないが、一方で外務省ホームページによると韓国でも武漢に訪れた人の感染が報告されているほか、一部報道ではタイでも感染者が見つかっているため拡大の可能性は皆無ではない。まずは冷静に日々の情報収集を欠かさず、従業員への注意喚起のほか、万が一の事態に備えて自社のインフルエンザ対策をもう一度見直しておきたい。(大越)

Back to Top