週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

放置船の「犯罪インフラ化」を放置するな

全国の漁港などで放置された船が住民や漁師らの悩みの種になっているという。漁の妨げとなり、災害時には流失して2次被害を呼ぶ恐れがあるからだ。だが、実は、放置船が覚せい剤の密輸に使われたり、不正に転売されたりする犯罪も発覚しているといい、「放置船が犯罪に使われると、乗船者を特定するのが難しい」との捜査関係者の話など、正に「犯罪インフラ化」している実態がある。実際、福岡県警などが昨年12月に覚せい剤約600キロを押収した事件では、宮崎県内で放置されていた船が運搬に利用されたという。国は、2022年度の「放置船ゼロ」を掲げているものの、自治体の撤去作業は進んでおらず、放置船の「犯罪インフラ化」に歯止めがかからない状況が続く。放置船の「放置」が、新たな犯罪を生むことに直結していることに鑑みれば、対策を急ぐべきだ。(芳賀)

新型コロナウイルスへの「予防効果」を謳う食品が多発!

納豆、あおさ・・・先週に続き、新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて、予防の効果を謳う健康食品や空間除菌剤などがインターネット上で販売されている。商品の大半はカプセルや錠剤などのいわゆる「健康食品」に区分され、「マヌカハニーサプリ、新型コロナ対策」「納豆に含まれるペプチドは肺炎の起因菌の膜を破壊します! 」などの表示がある。他にも「塩素成分で空間の除菌!」など身に付けるだけで空間のウイルス除去できるとする除菌剤についても、予防できる確証は無く注意が必要だ。ウイルスの性状特性は明らかではなく、また、事業者の民間施設では試験などを行うことが不可能な状態だ。それなのに予防効果を標榜するのは、客観性と合理性を欠くものであり、科学的な根拠は認められない。これらの商品に惑わされることなく、手洗いなどの正しい予防を心がけたい。(佐藤)

少年の大麻摘発、過去最多に 警察庁「令和元年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」

警察庁は昨年の少年事件の状況を発表した。大麻取締法違反で摘発した14歳~19歳の少年は、前年から180人増加し、609人と過去最多を更新した。この2年間に倍増し、過去7年間では10倍を超える勢いだ。学職別では、有職少年の328人が最多で、高校生の109人がそれに次ぎ、大学生の33人を上回る。中学生も6人いた。特に高校生は、3年前の53人から翌年は約4割増加、昨年はそれに対してさらに約5割と著しく増加している。少年に大麻使用が拡がっているという衝撃的な状況が窺える。大麻乱用者を対象にした調査では、初めて使用した経緯は「誘われて」が最も多い(63.7%)。その際に「大麻は覚せい剤と違って、依存症にならない、薬として使われているくらいだから体にもよい」といった誤った情報が後押しする。事実を正視し、正しい知識を教える必要がある。(伊藤)

企業は「緊急事態宣言」への対応を急げ

改正新型インフルエンザ特措法案が13日可決された。政府は「緊急事態宣言」を出すことにより、国民の外出を自粛することを要請できる。正確に条文を読むと「都道府県知事は、『生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないこと』を、期間と区域を決めて住民に要請できる。(第45条)」とある。「区域を定めて」とあるが、今後、緊急事態宣言区域に所在する企業はどのように対応すべきなのか。『生命の維持に必要な場合を除き』とあるので、食料や生活必需品の買い出し等以外の外出を禁止する可能性も匂わせている。企業側としては重く受け止める必要があるだろう。既存のBCPを見直し、業務の簡略化をはじめとした不要不急の業務の縮小や一時停止を検討するとともに、従業員へのメンタルも含めた対応が急務だ。(大越)

徹底した情報開示に尽きる

新型コロナウイルスに関する世界各国の発表数値は前提が異なるようで、各国間で「信頼できない」との応酬になっている。特に、日本の検査体制に対する疑義は強まっている。たとえ、PCR検査や簡易検査キットによる検査結果が不十分だとしても検査済という分母が不透明であれば、信用性は低下する。日本で陽性の検査結果が出た人が急増したとしても、そこで症状の軽重をしっかり見極め、医療崩壊しないような政策を推進するのが、まさに当局の役目である。デマを防ぐためにも、検査数・感染者数・死者数・回復者数を正確に掴む必要がある。民間においても、マスクやトイレットペーパーの生産・在庫・流通状況をメーカー単独ではなく、工業会等が率先して積極的に発信してほしい。正確な情報なくして「緊急事態宣言」もないだろう。(石原)

羽田空港の新飛行ルートの再考を

五輪に向けた国際線増便を理由に今月29日から羽田空港の新飛行ルートの運用が始まる。航空評論家の杉江弘氏によると、新ルートの着陸方式が世界の国際空港に類のない急降下角(3.45度)なため、パイロットを中心に現場で混乱が続いている。国交省が住民や自治体に説明してきた騒音低減も科学的根拠はないという。どうも横田空域有りきの話のようだ。IFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)やIATA(国際航空運送協会)も3.45度への懸念を表明しているという。新型コロナウイルスのパンデミック宣言により、東京五輪の開催も危ぶまれている中で、インバウンドの増加は見込めない。そのような状況の中で、都心に墜落事故が起きたらどんな惨劇になるのか。想像しただけでも恐ろしい。国交省は安全航空の原則に戻り計画を再考すべきだ。(石原)

常磐線再開への懸念

東日本大震災と福島第1原発事故の影響で、福島県の富岡―浪江間で不通となっていたJR常磐線が全線で運転を再開した。これに対し「動労水戸」は、「放射性物質を大量に拡散する」として反対していた。JR東日本や当局の主張とは真っ向から対立している。今回、一部区間の帰還困難区域を解除するが、双葉駅周辺エリアに限られ、住民帰還は伴っていない。組合側は「放射能に汚染された列車の検査や床下機器に直接触る検修作業員などの被ばく線量を測定すべき」と主張しているが、当局側は、「車両の線量測定を行う考えはない」としている。JR東日本は、駅などに設置した空間線量計を表示しているが、測定結果のHP公開はしていない。新型コロナウイルス同様、放射能も目には見えない。それだからこそ、情報開示は十分過ぎるということはない。(石原)

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