週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射のもつ意味

昨年末、金正恩朝鮮労働党委員長は党中央委員会総会で「世界は遠からず、新たな戦略兵器を目撃することになる」と述べていたが、最近も、高官の解任劇があえて発表されるなど、政権内部で何か大きな動きが起きている可能性がある。一連の動向からは、国内を引き締める狙い、停滞する非核化協議を巡って米韓を揺さぶる狙いに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で貿易の大半を依存する中国との国境を実質封鎖したことで経済的損失や国内の動揺が小さくないことなども透けて見える。後ろ盾の中国や米国がコロナショックへの対応に忙殺される中、相次ぐ合同軍事訓練視察や飛翔体発射には、体制や軍の引き締めに苦慮しつつも、軍事力増強姿勢と存在感を国際社会に改めて誇示する意図が明らかだが、実はミサイルの精度の向上が顕著な点も看過できない脅威だ。(芳賀)

公益通報制度の意義を踏まえ、今、国民の良識が問われている

公益通報保護法改正案が公表された。内部通報制度は今後一層の充実が求められる。特に通報事案に関して、組織内での調査・対応にも一定の合理性・客観性が重要となる。同法は公益通報者に対する不利益取扱いを禁止して公益通報を促進し、終局的には国民の利益を守ろうというものだ。過去の事案でも内部告発があった企業不祥事等へマスコミ・国民の批判は相当なものであった。ところで、森友学園の事件に絡む公文書の取扱い関し、自殺した当時の担当者の遺書が公表された。故人・ご遺族の判断・行動に敬意を表したい。この命を賭した内部告発・公益通報に関して、政府は適切な再調査をしようとせず、検察の人事まで恣意的にしようと躍起になっている。新型コロナウイルス騒動の中、不祥事をこのままうやむやにさせるのか、正に国民の良識が問われている。(西尾)

8年間気づかず、通販サイトで約6万件の個人情報漏えい

先月、カードゲームの通信販売サイトにおいて、利用者の登録情報6万3587件が外部に流出していることを公表した。原因の特定はされていないが、2017年9月以前に同社が使用していたサーバが不正アクセスを受けたものと見られ、2012年4月ごろに発生した可能性が高いとしている。8年間に渡り情報漏えいに気付かなかった理由について、同社は「(漏えいした情報が)あまり拡散されていなかったため」と説明している。このように日本国内の事案では、被害が顕在化するまで侵入や流出の事実に”気づけていない”だけのケースも現実には多くあり、被害を受けていること、または加害していることへの「認知」が脆弱だ。現在の対策が本当に機能しているかどうかの確認と、情報管理上の不備や脆弱性を積極的にチェックして自ら問題に気づける取り組みが求められる。(佐藤)

新型コロナウイルス対策にタイムラインを

台風や大規模水害など、あらかじめおおよその状況が事前に予測できる災害に対し、時系列に行動を整理して計画化しておくやり方を「タイムライン防災」と呼ぶ。大阪府河南町は先週、新型コロナウイルス対策としてタイムラインを導入したと発表した。「未発生」から「流行ピーク後」まで状況を7段階に分け、それぞれで基礎自治体が対応しなければいけない項目を挙げている。「町内で複数感染者発生」の項では「国・大阪府への職員、物資の要請」を、「急速な感染拡大」では「遺体の安置施設の確保」などを対応項目に入れた。既存のBCPを新しいリスクに対応させた良例と言える。現在の日本では抑え込みにある程度は成功しているものの、今後第2第3の波が来ないとは言い切れない。様々なイベントが自粛されるなか、改めて最悪の事態を想定し対策を検討したい。(大越)

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