週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「3つの山口組」の不気味な静寂

特定抗争指定暴力団への指定以降、新型コロナウイルスの感染拡大という「国難」もあってか、六代目山口組、神戸山口組、絆會(旧任侠山口組)の3つの山口組の動静についての報道が極端に減った。そのような中、神戸山口組の伝統ある二次団体の本部事務所が売りに出されていると以前から業界内で噂になっていたところ、1月下旬にある企業に売却されていたことがわかったという。さらに2月には、この組織で最高幹部の重職を務めていた人物が、組員数名と共に六代目山口組二次団体に移籍していたことも判明した。神戸山口組の求心力の低下を物語るものといえそうだが、両者の膠着状態がいつまで続くのか、神戸山口組がこのまま瓦解して六代目山口組に飲み込まれてしまうのか、法規制を打ち破り抗争が勃発するのか、3つの山口組の不気味な静寂が続く。(芳賀)

IPAが「情報セキュリティの倫理と脅威に対する意識調査」

2019年度版の報告書を公表情報処理推進機構(IPA)は「2019年度情報セキュリティに対する意識調査」で、ネット利用者を対象に「倫理」と「脅威」への意識調査を行った。中でも、自身の画像をSNS上で共有する傾向は20代、30代の男性で多く確認されており、10代は男女共平均割合を上回っている。不用意な画像などの投稿は、架空請求やSNS上での交際(自撮画像の送付強要や拡散など)トラブルに及びやすい。ネット空間は、子ども達にとって日常であり生活の習慣だが、現実世界と同様怖さやモラルを学ばなければ、それがトラブルだとは気づかずに問題に巻き込まれてしまう。ネットの安全教育を若い世代に自分事として捉えてもらうために、先生や保護者自身が見本となるような使い方をしているかを自戒し、十分なリスク認識、誤った操作方法や危険な使い方を熟知していくことが重要だ。(佐藤)

コンプライアンス徹底の取り組みで食品ロス削減を

セブンイレブンは、顧客に恵方巻の予約を積極的に促したことなどで売れ残りが減り、廃棄に伴う損失が前年比7割減になったという。予約へのシフトは、食べられるのに捨てられる「食品ロス」の削減が社会課題になっていることが背景にある。イベント商品である恵方巻やクリスマスケーキなどは、顧客に提案してニーズを掘り起こし、年次の改良を重ねて浸透してきた。とくに、家族で過ごすイベント商品の購入は店舗への信頼の証として販売側も力を入れてきた。一方で、本部の運営部を中心とした目標必達、売上至上主義の空気が、店舗の過剰発注への圧力となっていた面は否めない。本部の店舗指導員は、加盟店の継続的な利益向上が仕事だ。店舗指導員は、顧客の信頼を得られるような取り組みを支援し、正しく儲けさせることでしか本当の信頼は得られない。(伊藤)

VUCAの時代とロックダウンの対応

昨年末、「VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件」という本を読んだ。VUCAとは、「Volatility」(変動性)「Uncertainty」(不確実性)「Complexity」(複雑性)「Ambiguity」(曖昧性)の頭文字を取った略語で「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来予測が困難な状態」を指す。当時は予測もしなかったが、今がまさにその時だろう。VUCAの時代、多くの人は自ら変化を放棄するか、あるいは変化に過剰に反応してしまうか、どちらかのパターンに陥いり現実的な対処を放棄してしまうという。危機管理対応やBCPとは常に最悪の事態を想定しつつ、現実に最善な対応を模索する作業だ。新型コロナウイルスの影響で、東京都のロックダウンが現実味を帯びてきた。企業として対処しなければいけない事項は山積しているが、放棄せず、過剰に反応せず、1つひとつの問題を現実的に対処していきたい。(大越)

赤木さんの手記を無視してはいけない

森友問題に関わる、財務省による交渉記録の改竄を強要された自殺した近畿財務局の赤木俊夫さんの手記が発表された。赤木さんの妻が国と佐川宣寿元国税庁長官に計約1億1200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したのとほぼ同じタイミングだった。検察審査会の指摘を踏まえ同事件を再捜査した大阪地検特捜部は、当時の財務省幹部ら10人を不起訴とした。そのため安倍首相も麻生財務相も新たな調査はしないと国会答弁している。しかし、これで納得している国民が何人いるだろう。妻の裁判が開始される前に、国政調査権を発動し関係者の証人喚問・参考人招致を是非実現させるべきだ。組織の犠牲者となり、悲運な最期を遂げた真面目な公務員の無念を無視してはならない。この問題を曖昧にすることは国家の危機管理ではなく、組織の歪んだ危機管理でしかない。(石原)

ジャーナリズムは瀬戸際?

ここのところ、政府の新型コロナウイルス対応に対して批判的な報道を続けていた特定のテレビ番組などが、政府系のSNS(厚労省・内閣官房・自民党広報など)から狙い撃ちにされている。事実関係の誤りを指摘する分には問題はない。しかしながら、政府側に不都合な報道を繰り返すメディアや番組だけを取り上げて批判するのは如何なものか。これは報道の自由にとって、極めて危険な兆候といえる。これまで官房長官の会見や直近の首相会見にしても政府側の説明が長く、記者側の質問が制限されているとの指摘がなされていた。それは質問回数のみならず、質問者まで限定される状況を生んでいる。記者クラブ主催の記者会見においては、クラブ側がもっと主導権を持つべきである。また結果的にメディアの委縮に繋がるような各社幹部の首相との会食は控えるべきだ。(石原)

GPIFの外債運用を25%引き上げは国益に適うのか

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が外国債券での運用比率を25%(現行外国債券15%)とする方針を固めたことが報道された。国内債券の償還資金や利子・配当収入を外債投資に充てるとのことだ。今回のコロナ騒動の株式大暴落で20兆円の損失を出したともいわれている。コロナ騒動以前から、日本経済・世界経済ともデフレ傾向で大きな成長は見込めないような状態にあったことは間違いない。ただでさえ私たちの年金の持続可能性について、大きな疑義が持たれている(加速する少子高齢化社会)。その中で大事な年金原資を株式や債券市場で運用するというコンセンサス自体が取られてきたわけではない。今月末でGPIFの理事長と理事2人が退任する。運用責任はいったい誰が取るのか。理事長にはスキャンダルも噴出した。ここでも説明責任が蔑ろにされている。(石原)

緊急事態宣言は出るか?

東京五輪の延期が決まった途端、日本各地での感染者数が増加している。一部ネットでは、4月1日に緊急事態宣言が出されるとの情報が流れている。五輪延期による検査拡大で感染者数が増えるのは当然だろう。アスリートたちはこの状況では世界のどの都市でも開催できないことを納得せざるを得ない。世界的パンデミックの中で、現在日本では感染の第二波が本格化している。これには年齢や基礎疾患は関係ない。その意味では、国民の大多数を感染させて免疫を持たせることが効果的かどうかは疑問である。すでにDNA検査では何種類ものウイルスが発生していることが各国から発表されているからだ。今後の展開は不明だが、緊急事態宣言が緊急事態条項に入れ替わらないよう目を光らせていく必要があろう。世界的に戒厳令が常態化することは避けなければならない。(石原)

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